「投資って、なんだか怖い…」と思っている方は、決して少数派ではありません。実際、内閣府が実施した調査によれば、投資をしていない人の理由の上位には「元本割れのリスクがあるから」「知識がないから」が並んでいます。2025年現在、実際に株式投資をしている人は全体の約2割にとどまり、多くの人がリスクを理由に敬遠しています。
一方で、定期預金の金利は年0.43%前後。貯金だけでは資産は増えにくい時代です。
そこで注目されているのが、少額・長期・分散でリスクを抑える「初心者向けの株式投資」です。
本記事では、投資が怖い理由の正体と、安全にスタートするための具体的な方法を、事例・データ・専門家の意見を交えて解説します。
1.株式投資が怖いと感じる理由とは?初心者が陥りがちな心理的ハードル
「株って、勝ち負けでしょ?」「ギャンブルと一緒では?」と思われがちですが、実はこれ、よくある誤解です。株式投資は、企業の成長に対してお金を託す仕組みのことです。
ギャンブルはゼロサムゲーム(誰かの得は誰かの損)ですが、投資は企業の利益が伸びれば全員がプラスになります。たとえば、トヨタの株を持っていれば、トヨタが成長することで株価が上がり、配当も受け取れます。
2008年の金融危機で、多くの投資家が大損したという印象がありますよね。しかし、実際にはその直後から世界の株価は回復し続けています。たとえば米国のS&P500は2009年から2023年までに約6倍に成長しました。短期的にはマイナスもありますが、長期で見れば回復力のある市場に乗ることがカギとなります。
また、行動経済学の「プロスペクト理論」では、人は得よりも損を2倍以上大きく感じる傾向があると言われています。つまり、「1000円儲かる」よりも「1000円損する」ほうが、心理的には大打撃。この心理が、「投資=危険」「怖い」と感じさせているのです。
さらに、金融庁が発表している資料によると、日本人の金融資産のうち現預金の割合は約50%以上を占めており、欧米に比べて株式や投資信託への投資が極めて少ない状況です。米国では約35%が株式、20%が投資信託とされており、日本との差が際立っています。
2.初心者が株式投資のリスクを抑える3つの運用術
アルベルト・アインシュタインは「複利は人類最大の発明だ」と語ったとされます。たとえば、年利5%で100万円を20年間運用すれば、約2.65倍の265万円になります。楽天証券の積立シミュレーターによると、年利5%で毎月1万円を積み立てると、20年後には約412万円(元本240万円)に到達します。
このように、「時間」をかけることでリスクを分散しつつ、大きなリターンを得ることが可能です。
毎月同じ金額を投資する方法は「ドルコスト平均法」と呼ばれます。価格が高いときは少なく、安いときは多く買うことになるため、平均取得価格が安定します。価格の上下に一喜一憂することなく、長期的な視点で安心して投資を続けることができます。金融庁もこの投資手法を「長期・積立・分散」という観点から推奨しています。
さらに、「投資=税金が取られる」というイメージもありますが、NISAやiDeCoなどの制度を活用すれば、利益に税金がかからないケースがあります。
たとえば、新しい積立NISAでは、年間120万円までの「つみたて投資枠」が設定されており、非課税期間は無期限。対象はインデックス型の商品が中心で、初心者にも扱いやすい内容となっています。
また、iDeCo(個人型確定拠出年金)は、掛金が全額所得控除の対象となるうえ、将来は年金として受け取ることが可能です。節税と老後資金準備を同時に行える制度として注目されています。
実際、2025年3月末時点でNISA総口座数は約1,878万口座に達しており、特につみたて投資枠の利用率は約79%と高く、若年層を中心に利用が広がっています。
また、iDeCoの加入者数も2025年4月時点で約364.7万人に増加しており、加入年齢の上限が70歳未満まで引き上げられたことも利用拡大の一因となっています。
3.初心者におすすめの投資先と実例紹介
「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」は、日本を含む全世界の株式に分散投資できるファンドで、初心者の間で最も人気があります。信託報酬も0.05775%と非常に低く、コストパフォーマンスに優れています。2023年には、純資産総額が1兆円を突破し、多くの長期投資家に支持されています。
また、楽天証券では「100円からの投資」が可能で、ある20代女性は「月1000円ずつ、3年かけて全世界株式に投資」を継続しました。その結果、3年で約15%の利益が出たという事例もあります(2020〜2023年実績)。このように、少額でも確実に資産が増やせる環境が整っているのです。
さらに、ウェルスナビやTHEOなどのロボアドサービスを使えば、リスク許容度に合わせて自動でポートフォリオを調整してくれます。手数料は1%前後かかりますが、「手間をかけずに始めたい人」には非常に人気があります。2025年現在、ウェルスナビの預かり資産は約1.4兆円に達し、利用者数は約41万人を突破しています 。
まとめ
投資は「怖いもの」ではなく、「知らないから不安なもの」です。誤解や心理的なハードルを乗り越え、時間と制度を活用し、実績あるファンドや少額積立から始めてみましょう。まずは楽天証券やSBI証券などで口座を作り、「月1000円から」でも十分です。時間を味方にすれば、お金はあなたの未来を支える力になります。
参考文献
- ※1:内閣府「国民生活に関する世論調査」2022年版
https://survey.gov-online.go.jp/ - ※2:三井住友銀行「普通預金金利」
https://www.smbc.co.jp/kojin/interest/yen.html - ※3:S&P500指数の過去チャート(Yahoo!ファイナンス USA)
https://finance.yahoo.com/ - ※4:楽天証券「積立シミュレーター」
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/simulator/tameru/ - ※5:金融庁「つみたてNISA早わかりガイド」
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/tsumitate/ - ※6:eMAXIS Slim全世界株式ファンド資料(三菱UFJアセット)
https://emaxis.jp/fund/253253.html