
株主優待というと、自分自身が商品やサービスをお得に利用できる“ご褒美”というイメージが強いかもしれません。しかし実際には、優待品を「誰かに贈る」使い方もあり、これが近年注目を集めています。特に、長期保有特典がある企業や、優待カタログから送付先を選べる制度を用意している企業では、家族や友人、取引先などに直接プレゼントとして贈ることが可能です。
たとえば、人気優待投資家として知られる桐谷広人さんも、実際に株主優待を贈り物に活用し、人とのつながりやコミュニケーションに役立てていると語っています。単にコストを抑えられるだけでなく、「相手に喜ばれるプレゼント」を用意できるという点で、優待は非常に優秀なツールなのです。
この記事では、株主優待を贈り物として活用するメリットと、ギフト向け優待の選び方について、最新の人気ランキングや投資家の視点を交えながら解説していきます。
1. 株主優待が“贈り物”として注目される理由
株主優待をプレゼントとして活用する最大のメリットは、コストパフォーマンスの高さにあります。通常、贈答品を用意するには一定の予算がかかりますが、優待であれば、すでに投資という形で支払った金額に対して“おまけ”として贈答品を得られるため、実質的な支出が抑えられます。
さらに、事業者として贈答品を活用したい個人事業主にとっては、交際費や販促費としての経費処理が可能なケースもあります。ただし金券や高額商品は対象外となることがあるため、用途と内容に応じて税理士などに確認するのが安心です。
このように、株主優待は「自分で使う」だけでなく、「誰かに贈る」ことで、投資と人間関係の両面でリターンが期待できる使い方となっています。
2. ギフト向け優待を選ぶポイントと人気銘柄の傾向
贈り物として株主優待を活用するには、やはり「何を贈るか」「どの企業を選ぶか」が重要な判断ポイントになります。見た目の豪華さや実用性に加え、相手の性別や年齢、ライフスタイルに合った内容かどうかも大切な要素です。
女性に喜ばれるギフトとして、日用品や美容品、健康食品など日常使いできる実用的なアイテムがあります。たとえば、ポーラ・オルビスホールディングスでは、1,500円相当の優待ポイントが付与され、好きなタイミングで化粧品を購入できる仕組みが整っています。贈答用にする際も、受け取る側にとって満足度が高いといえるでしょう。
また、ライオンや資生堂、コーセーなどの大手メーカーでは、スキンケア用品や洗剤などの詰め合わせを長期保有者向けに提供しています。ブランドイメージがしっかりしており、内容にも安定感があるため、ギフトとしての信頼感があります。
食品関連では、ヤクルト本社、日清オイリオ、明治ホールディングスなどが人気です。自社製品を詰め合わせて提供しており、お中元やお歳暮のような感覚で贈ることができます。保存性が高く、誰にでも喜ばれやすいことから、贈答品として使いやすいジャンルです。
このほか、カタログ型優待を提供している企業もギフト用途に強みを持ちます。たとえば、ラクト・ジャパンでは、自社が厳選した商品から1点選べる方式を採用しており、相手に“選ぶ楽しさ”を贈ることが可能です。
このように、贈答向けの株主優待を選ぶときには、「実用性」「知名度」「相手が選べる自由度」「長期保有による充実度」などを意識すると、投資としてのリターンと、贈り物としての喜ばれ度、どちらも満たすことができます。
3. ギフトにおすすめの優待銘柄10選
贈り物として活用することを前提に株主優待を選ぶなら、「相手に喜ばれる内容であるか」「企業の信頼性があるか」「継続性や長期保有メリットがあるか」などが重要な判断軸になります。ここでは、実際に人気が高く、ギフト用途にも適している優待銘柄を10個ピックアップしてご紹介します。
ポーラ・オルビスホールディングス(4927)と資生堂(4911)
まず、おすすめしたいのが、ポーラ・オルビスホールディングス(4927)と資生堂(4911)です。どちらも12月末時点で100株以上保有している株主に1,500円相当の株主優待ポイントが贈られ、専用サイトでスキンケア商品などと交換できます。上品でブランド力のある商品が揃っており、美容に関心のある女性への贈り物にぴったりです。
ライオン(4912)
続いて、ライオン(4912)も見逃せません。12月末基準で、長期保有株主向けに日用品の詰め合わせが届きます。歯ブラシや洗剤、ボディケア用品など、毎日使うアイテムが中心で、性別や年齢を問わず喜ばれる実用的な優待です。
コーセー(4922)
こちらも美容系の優待の中でも人気の優待の一つです。12月末基準で、化粧品詰め合わせが用意されており、高級感がありながらも気軽に贈れるギフトになります。
ヤクルト本社(2267)
食品ジャンルでは、ヤクルト本社(2267)の3月権利分がおすすめです。乳製品もしくは乾めんなどのセットが贈られ、健康志向の方や年配の方への贈り物にも最適です。
明治ホールディングス(2269)
明治ホールディングス(2269)も1,500円相当のグループ製品詰め合わせがもらえるため、実用性と親しみやすさを兼ね備えています。
日清オイリオグループ(2602)や味の素(2802)
調味料や食用油などを提供する、この2つの優待も、保存が利いて家庭で使えるアイテムが中心なので、幅広い層への贈答に向いています。特に味の素は長期保有優遇があるため、長く付き合いたい相手への定期的な贈り物としても活用できます。
ラクト・ジャパン(3139)
贈る相手に商品を自由に選んでほしいなら、ラクト・ジャパン(3139)のカタログ優待が有効です。11月末時点で長期保有者には、3,000円相当のカタログから希望の商品を1点選べる形式が用意されており、失敗しにくいギフトになります。
小林製薬(4967)
こちらの優待は、自社製品詰め合わせまたは寄付が選べる5,000円相当の内容で、健康食品や衛生用品など、贈る相手に安心感を与えるアイテムが揃っています。日常の中で確実に役立つ内容であり、相手の体を気遣う気持ちを形にできる点が評価されています。
これらの銘柄は、どれも企業としての安定感があり、優待の中身もギフトとしての使い道が具体的にイメージしやすいものばかりです。送り先の好みやライフスタイルに合わせて、優待内容の方向性を見極めながら選ぶと良いでしょう。
まとめ
株主優待は、ただの節約ツールではありません。誰かを思いやる手段として活用することで、その価値はより深く、広がりを持ったものになります。
特に、企業によっては送り先の住所を指定できたり、相手が商品を選べるカタログ形式を採用していたりと、「贈る前提」で設計された優待制度が増えてきています。
今回紹介したような銘柄を活用すれば、日常的にお世話になっている家族や友人、あるいはビジネス上のパートナーに対して、気持ちのこもったギフトを届けることが可能です。
相手にとっての実用性や好みを考慮しつつ、ブランドや品質の信頼性も加われば、単なる贈り物以上の“印象に残る株主優待ギフト”になります。
自分のための投資が、誰かの喜びにもつながる。そんな視点を持つことで、株主優待の新たな価値が見えてきます。これから銘柄選びをする際には、「自分で使うかどうか」だけでなく、「誰かに贈ってうれしいか」という視点も取り入れてみてはいかがでしょうか。
参考文献
- net ir「読者が選ぶ 株主優待人気ランキング TOP50」:https://yutai.net-ir.ne.jp/ranking/
- 日本経済新聞『桐谷さんが選ぶ「人に送れるお薦め株主優待10」』:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB15APA0V10C22A8000000/