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法律違反にならない副業の始め方:労働基準法の基本を解説

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要約

副業を始める前に知っておくべき労働基準法**、就業規則、確定申告の重要ポイントを徹底解説。厚生労働省のガイドラインに基づき、副業が会社にバレる主な原因である住民税対策(普通徴収)や、労働時間の上限ルール、年20万円の壁など、法的リスクゼロで安全かつ継続的に副収入を得るための基礎知識を紹介します。

目次

働き方の多様化が進む現代において、副業はもはや特別なものではなくなりつつあります。「収入を増やしたい」「やりたいことを副収入にしたい」と考える人が増え、副業に関心を持つ方が年々増加しています。一方で、「法律に違反していないか不安」「就業規則で禁止されていたらどうしよう」といった懸念から、一歩踏み出せないという声も多く聞かれます。

実際、副業には労働基準法や就業規則、さらには税法など、注意すべき法律的なポイントが複数存在します。知らずに始めてしまうと、懲戒処分や過労、未申告による追徴課税など、トラブルに発展するリスクもあるのです。

そこで本記事では、「副業を法律違反なく始める」ために知っておきたい基礎知識を、厚生労働省のガイドラインや信頼性の高い情報をもとに解説します。具体的には、副業の自由を認める法的根拠や、労働時間の制限、就業規則の重要性、税務・社会保険上の注意点まで、段階的にわかりやすく紹介します。

1. 副業は本当に自由にできるのか?

「副業=自由にできるもの」と思われがちですが、実際にはいくつかの法的な前提があります。まず、私たちの働く自由は憲法第22条に基づいて保障されており、職業選択の自由が基本です。この点から見れば、副業をする権利そのものは否定されていないと言えるでしょう。

しかし、企業ごとの就業規則においては「副業禁止」「許可制」など、独自の制限が定められている場合が少なくありません。つまり、「法的には副業可能」でも「会社規則としてはNG」というケースがあるのです。これは、企業が社員の健康管理や機密保持、労働時間の過重を防ぐために必要な対応とされています。

また、2018年に厚生労働省が発表した「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では、企業に対し副業・兼業の明確なルールづくりと周知を求めています。モデル就業規則も改訂され、合理的な範囲で副業を認める方向へとシフトしています。企業が副業を禁止する場合も、その理由や必要性が正当であることが求められるようになったのです。

一方で、公務員については別です。国家公務員法や地方公務員法により、営利企業での業務は原則として禁止されています。例外的に許可が出る場合もありますが、会社員とは異なる制限があるため注意しなければなりません。

つまり、私たちが副業を始めるうえで大切なのは、「自由にできる部分」と「ルールによって制限される部分」の線引きを正確に理解することです。まずは自分の所属する組織の就業規則を確認し、その上でどのような副業が認められているのかを見極めることが、安全なスタートにつながります。

2. 労働時間の上限と通算ルール

副業を行ううえで特に注意すべきなのが、労働時間に関するルールです。労働基準法では、原則として1日8時間・週40時間を超える労働については、割増賃金の支払いが義務付けられています。これは副業であっても例外ではなく、複数の雇用主で働いた労働時間が合算されるケースもあるため注意が必要です。

たとえば、会社員のAさんは平日は本業で9時から18時まで勤務し、夜にデリバリー配達の副業をしていました。1週間の合計労働時間が60時間を超えたことで、過労による体調不良が発生し、本業のパフォーマンスも低下。会社からの注意を受け、副業を一時中断することになりました。このように、労働時間の合計を軽視してしまうと、健康面にも職場の信頼関係にも影響を及ぼします。

また、企業によっては「副業時間が月●時間以内」といったガイドラインを定めているケースもあります。特にIT系や医療、教育など、責任が重い業種では副業による集中力の分散が業務品質に影響を与えるため、制限が厳しめです。副業を始める際には、自分の業種特性も踏まえて無理のないスケジュールを設計しましょう。

3. 就業規則で副業が制限される理由

副業を始める前に、自身の勤務先の就業規則を確認することが非常に重要です。就業規則には、労働者として守るべきルールや企業の方針が明記されており、副業に関しても「禁止」や「事前申請制」などの規定が設けられていることがあります。企業が副業を制限するのは、社員が本業に集中できるようにするためや、自社と競合する業務への従事を防ぐため、そして企業秘密の漏洩を防ぐといった理由があります。

実際、競合他社での副業によって営業情報が流出したり、副業に疲れて本業の質が落ちたりすることは、企業にとって大きなリスクです。就業規則は社内イントラネットなどで公開されていることが多いため、「兼業・副業」や「服務規律」の項目を確認しましょう。不明な場合は、人事や総務に柔らかく問い合わせるのがよい方法です。また、すでに副業している社員がいれば、どのような申請手続きが必要だったかを聞くことで、実情を把握しやすくなります。

4. 税金と社会保険の基本的な注意点

副業で得た収入が年間20万円を超える場合、確定申告が必要になります。これは所得税法上のルールであり、本業の給与とは別に収入が発生した場合に適用されます。特に、給与所得以外の「雑所得」や「事業所得」として扱われる収入には要注意です。

たとえば、フリーランスとして副業を始めた主婦Bさんは、報酬が年25万円だったにもかかわらず確定申告を怠ってしまい、後に税務署から通知を受けました。住民税の申告漏れが原因で、本業の夫の会社に副業が発覚し、家庭内トラブルにまで発展した例です。

また、年収が一定額を超えると配偶者控除が外れたり、社会保険の加入義務が発生したりすることもあります。副業で月数万円の収入があっても、年単位で見れば扶養の範囲を超えることがあるため、あらかじめ試算ツールを使って見通しを立てるといいでしょう。

さらに、住民税の課税通知が勤務先に届くことで、副業が会社に知られてしまう可能性もあります。これを防ぐには、確定申告時に住民税の納付方法を「普通徴収(自分で納付)」に設定することが有効です。税金や社会保険の取り扱いは専門的で複雑な部分もありますが、国税庁のサイトや税理士に相談することでリスクを回避できます。

5. まとめ

副業は収入を増やすチャンスであると同時に、法的なリスクを伴う行動でもあります。副業を始める際には、まず憲法や労働基準法、就業規則、税法、社会保険制度など、関係するルールを正しく理解しておくことが大切です。特に雇用契約か業務委託かによって労働時間の扱いが異なる点、収入の申告義務の有無、就業規則による制限の有無と合理性などは、スタート前に確認すべき重要事項といえます。焦らず段階を踏んで、安全で継続的な副業ライフを築きましょう。

参考文献

– 厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」  

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000192188.html

– 厚生労働省「副業・兼業と労働条件」  

https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/study/roudousya_fukugyoutokengyou.html

– OneHR「労働基準法における副業の取り扱い」  

https://onehr.jp/column/labor/sidejob-labor-standards-act

– Money Forward「副業に労働時間の上限はある?」  

– freee「副業禁止は法律で定められていない」  

https://www.freee.co.jp/kb/kb-fukugyou/sidejob_ban

– Chibanian.info「副業の法律を徹底解説!」  

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