「便利そうだったからオンライン内見を使ってみたけれど、実際に住んでみたら想像と違った」という声は今や珍しくありません。遠方からの引越しや忙しい日常の中で、現地に行かずに部屋を確認できるオンライン内見はとても便利な選択肢です。しかし、画面越しだからこそ見落としやすい落とし穴も存在します。
本記事では、不動産のプロが教える「オンライン内見で見逃されがちな重要ポイント5選」と、それを防ぐための準備・質問リストまで徹底解説します。
1. オンライン内見の基本と流れを理解しよう
オンライン内見とは、スマートフォンやパソコンを使って、不動産会社のスタッフとビデオ通話をしながら物件内部を見学するスタイルのことです。遠方に住んでいる方や、感染対策の観点から現地に行きづらい方にとって、近年ますます主流となってきました。
オンライン内見の流れは次の通りです。
- 希望物件を不動産会社に伝え、オンライン内見の可否を確認
- 日時を調整し、ZoomやLINE通話などで接続
- スタッフが現地からカメラで室内や周辺を案内
- リアルタイムで質問や指示を伝える
スマホと通信環境さえ整っていれば、自宅にいながら現地さながらの内見が可能です。しかし、「見える範囲しか見えない」のが最大の盲点でもあります。
2. 見逃しがちな5つの重要チェックポイント
オンライン内見では、以下のような“気づきにくい”要素に注意が必要です。
2-1. コンセントの位置と数
実際の生活ではスマホ充電、家電配置などで「コンセントの位置」は非常に重要です。ところが、カメラのアングルでは見落とされやすい項目でもあります。
たとえば、テレビの配置予定場所にコンセントがなかったり、ベッドの横に充電口がなかったりします。こうした問題は、住んでから判明する典型例です。「各部屋のコンセントの場所と数をすべて映してほしい」と具体的に依頼するようにしましょう。
2-2. 窓からの景色と外の音を確認する
他にも「南向きと書いてあったのに、目の前に高層ビルが建っていて日当たりが悪かった」や「幹線道路の交通音が思った以上にうるさかった」など、オンライン内見あるあるです。
窓を開けて「目の前の景色」「通行音」「空気の流れ」を確認してもらいましょう。また、将来的に建築予定の土地が目の前にないかも、不動産会社に尋ねることで予測できることがあります。
2-3. 収納スペースの“中身”と奥行きを見せてもらう
「クローゼット付き」と書かれていても、実際には奥行きが浅くて冬物コートが収まらない、というのはよくある話です。とくにスーツケースや掃除機など大きな物を収納したい方は気を付けましょう。
扉を開けて中を映してもらい、「どれくらいの荷物が入りそうか」を担当者と話しながら確認するのがポイントです。
2-4. ゴミ置き場・駐輪場など共用部分も確認
建物の清潔感や管理状況は、室内以上に共用部分に現れます。ゴミ捨て場が散らかっていたり、ポスト周辺にチラシが溢れていたりする物件は、管理が行き届いていない可能性があります。
「ゴミ置き場、エントランス、ポスト周辺も見せてください」と内見時に伝えてください。清掃の頻度や、入居者のマナーもチェックするつもりで見ておくとよいでしょう。
2-5. 水まわりの細かい使い勝手
キッチンや浴室、トイレなど水まわりの使いやすさは、生活の快適さに直結します。キッチンの高さが合わなかったり、洗濯機が置けなかったりといったトラブルは事前確認で防げます。
また、「お風呂の換気は窓あり?」「トイレに収納棚はある?」といった細かい質問を準備しておくと抜け漏れが防げます。
3. 内見前に準備しておきたい質問と資料
オンライン内見を成功させるためには、「どんな情報を見落としやすいか」を前提に、事前準備をしておくことが肝心です。以下のような3つの準備をおすすめします。
3-1. 質問リストを作成
内見中に質問を思い出そうとすると、焦って肝心なことを聞き忘れがちです。あらかじめ質問を紙やスマホにメモしておき、チェックしながら確認しましょう。特に以下の項目は忘れずにリスト化しておくと安心です。
- 各部屋のコンセントの位置と数
- クローゼットや収納スペースの寸法(奥行き・幅)
- 窓の方角と景観、通風の有無
- 水まわりの設備(キッチンの高さ、浴室換気、洗濯機置き場の大きさ)
- 建物の共用部分(エントランス、ゴミ捨て場、郵便ポスト)
できれば、不動産会社に事前に共有しておくと、スムーズな案内につながります。
3-2. 間取り図を手元に準備しておく
ビデオ通話で部屋を見ていると、どの部屋を映しているのか迷うことがあります。そのため、事前にメールなどで送られてくる「間取り図」を手元に用意しておきましょう。
間取り図を見ながら内見を進めることで、カメラの映像と部屋の構造が一致しやすく、質問や採寸の際の判断も的確になります。家具配置のシミュレーションにも役立つため、内見前に必ず目を通しておきたい資料です。
3-3. スマホやPCの準備と録画の確認
オンライン内見では通信機器の不具合が情報の取りこぼしにつながります。
「使用する端末(スマホやパソコン)の充電を満タンにする」、「通信環境が安定している場所(Wi-Fi推奨)から接続する」、「使用するビデオ通話アプリ(Zoom、LINEなど)の事前テストを行う」といった点は必ずチェックしましょう。
また、許可が取れる場合は録画しておくと、後から見返して比較検討する際に非常に役立ちます。
4. 不動産会社との効果的なコミュニケーション術
オンライン内見では、現地スタッフがカメラの目となります。そのため、担当者とのやり取りが内見の成否を大きく左右します。
4-1. 見たい場所を具体的に伝える
担当者が映す範囲は、あくまで“主観”に依存します。自分が気になる点をしっかり伝えないと、内見後に「ここを見ておけばよかった」と後悔することも少なくありません。
たとえば、「キッチンのシンク下を開けてください」、「窓を開けて、外の音を確認したいです」、「洗濯機置き場の幅と奥行きを測ってもらえますか?」など、具体的に依頼しましょう。
細かい指示を出すことは決して失礼ではありません。「あとで困らないように」見せてほしいという姿勢が、良い関係にもつながります。
4-2. コミュニケーションで引き出せる現場の空気感
たとえば「この部屋で過去にトラブルはありましたか?」「今の入居者はどんな方でしたか?」といった質問をすることで、書面ではわからない空気感を知ることもできます。
担当者が丁寧に答えてくれるかどうかも、不動産会社の姿勢を測る良い指標になります。物件のことをよく知っているスタッフであれば、周辺の住環境や細かい注意点まで教えてくれるでしょう。
5. まとめ
オンライン内見は、時間や距離の制約を越えて物件を確認できる便利な手段ですが、その分「見えない情報をどう補うか」が鍵になります。
本記事で紹介した「見逃しがちなチェックポイント5つ」を意識し、事前に質問リストと資料を用意すれば、オンラインでも現地内見に劣らない精度で物件を見極めることができるでしょう。
参考文献