
2025年のIPO(新規株式公開)市場は、昨年の動向を引き継ぎながらも、さらなる変化が予想されています。
2024年には86社が上場し、東京メトロやキオクシアホールディングスなどの大型IPOが注目銘柄でした。
一方、グロース市場の低迷が続き、投資家の選別が厳しくなる傾向も見られました。
2025年には、大型IPOに加え、ポケトークのような新興企業の上場も期待されています。
本記事では、2025年のIPO市場の展望と、サラリーマン投資家が狙うべき新規上場銘柄の選び方について解説します。
1. 2025年のIPO市場はどうなる?最新トレンドと注目点
2025年のIPO市場は、全体的に90社前後の上場が見込まれています。
2024年の86社とほぼ同水準で推移すると予測されるものの、いくつかの重要なトレンドが浮かび上がっています。
1.1 大型IPOの増加
2024年は東京メトロやキオクシアホールディングスなど、時価総額1,000億円超の大型IPOが相次ぎました。
2025年もENEOSホールディングス傘下のJX金属や、ソニーフィナンシャルグループ(10月上場予定)が市場を賑わせると考えられます。
これらの企業は安定したビジネスモデルを持ち、長期投資の対象として魅力的です。
1.2 グロース市場の改革と新興企業のIPO
2024年、東証グロース市場250指数は年間で8.8%下落し、全体として低迷しました。
この流れを受け、2025年にはグロース市場の改革が進められ、上場基準の引き上げや事業成長性の強化が求められる可能性があります。
これにより、本当に成長が期待できる企業のみがIPOを果たすことになり、投資家にとってより質の高い銘柄選定が重要になります。
1.3 業種別トレンド
1.3.1 AI・DX関連企業
企業のデジタル変革が加速し、業務効率向上やコスト削減を実現するAI・DX技術の需要が拡大しています。
特に、クラウドサービスやAIを活用したデータ分析、業務自動化を提供する企業のIPOが増加する見込みです。
加えて、AIを活用したSaaS(Software as a Service)型ビジネスの成長が加速し、企業のコスト削減や業務最適化に寄与するサービス増加への期待が拡大しています。
サラリーマン投資家にとって、成長性の高い分野でありながら、ビジネスモデルが分かりやすく、長期的な投資に適している点が魅力です。
1.3.2 人材関連サービス
少子高齢化による労働力不足を背景に、スキルマッチングやフリーランス支援、リスキリングを提供する企業が注目されています。
近年、企業のDX化に伴い、エンジニアやデータサイエンティストの需要も増大しています。
これに対応する教育・人材育成企業のIPOも増加すると考えられます。これらの企業は安定的な需要を見込めるため、比較的低リスクな投資対象となります。
1.3.3 半導体・エレクトロニクス関連
5GやIoTの普及に伴い、半導体需要が拡大しています。JX金属のように、半導体材料を提供する企業は、今後の市場成長に伴い高い収益性を期待できます。
特に、グローバルな半導体市場の動向を把握することで、より有望な投資機会を見出せるでしょう。
また、次世代半導体技術の開発が進む中で、関連する製造装置や材料供給企業もIPOの候補となる可能性があります。
1.3.4 金融業界(銀行・保険)
2025年は、日本銀行の金融政策に変化が生じる可能性が指摘されています。
特にマイナス金利政策の解除や金利引き上げの議論が進めば、銀行や保険業界に大きな影響を与えるでしょう。
2. サラリーマン投資家が狙うべき新規上場銘柄の選び方
IPO投資は、大きな利益を得るチャンスがありますが、適切な銘柄選定が不可欠です。
特に、サラリーマン投資家にとっては「中長期で成長が期待できるか」・「リスク管理が可能か」が重要な観点です。
限られた資金と時間の中で最大のリターンを得るために、慎重な選択が求められます。
2.1 企業の成長性と業界トレンドを確認
投資対象の企業が属する業界の成長性をチェックすることが重要。例えば、2025年には次のような企業が注目されています。
1つ目はJX金属です。
銅製錬大手であり、半導体材料の製造にも携わる企業です。半導体市場の成長により、今後の需要拡大が期待されます。
特に、半導体供給網の安定化が世界的に求められており、長期的に安定した収益基盤を確保できる可能性が高いでしょう。
2つ目はポケトーク(2025年中に上場予定)です。
携帯翻訳機を展開する企業で、インバウンド需要の回復やビジネスのグローバル化により、翻訳技術の需要が増加中です。
特に、観光業や企業の海外展開をサポートするツールとしての成長が見込まれています。
3つ目はビットバンク(2025年中に上場予定)です。
日本国内で暗号資産取引所を運営しています。
デジタル資産の認知度向上や、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の議論が進む中で、暗号資産市場の成長ポテンシャルに期待が集まります。
特に、日本国内で規制強化が進む中、適正な管理体制を持つ取引所が成長する可能性があります。
4つ目はソニーフィナンシャルグループ(10月上場予定)です。
ソニーグループが保有する金融子会社で、ソニー生命、ソニー損保、ソニー銀行を運営しています。
2025年のスピンオフ(事業分離)上場を計画しており、金融業界における再編の一環として注目されます。
サラリーマン投資家にとって、長期的に安定した配当が期待できる点も魅力です。
特に低金利環境が終わりつつある中で、銀行・保険事業の収益拡大が見込まれています。
2.2 IPOの公開価格と市場評価を分析
IPO株は、公開価格と初値の動向を確認することが重要です。
過去のデータからも、公開価格が高すぎると初値割れするケースが多いため、適正な評価がされているかをチェックしましょう。
2.3 証券会社の主幹事情報を活用
IPOに当選しやすくするために、主幹事証券会社の口座を開設しておくのも戦略の一つです。2024年の主幹事証券ランキングでは、
- 1位:SMBC日興証券(23件)
- 2位:みずほ証券(19件)
- 3位:大和証券(18件)
となっており、これらの証券会社を活用することでIPO投資の機会を増やせます。
3. まとめ
2025年のIPO市場は、前年と同水準の90社程度の上場が予想され、特にJX金属やソニーフィナンシャルグループといった大型IPOが注目銘柄です。
一方で、グロース市場の低迷が続いており、市場改革の動向をフォローしながらIPO投資に慎重な銘柄選定をしたいところです。
サラリーマン投資家が狙うべきポイントをおさらいしましょう。
- 業界の成長性が見込める企業を選ぶ(AI、DX、半導体関連など)
- 公開価格と市場評価を慎重に分析する
- IPO当選のために主要証券会社の口座を活用する
- IPO後の成長戦略を重視し、長期投資を視野に入れる
2025年のIPO市場では、慎重な選定と情報収集が大切です。本記事を参考に、賢くIPO投資を進めていきたいです。
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参考文献
2024年のIPO動向|株式会社 帝国データバンク[TDB]
2024年の株式・IPO市場の振り返り:日経最高値更新とグロース市場の葛藤 | EY Japan
2025年IPOがスタート、「グロース市場改革」に向けた動きも焦点 <株探トップ特集> 投稿日時: 2025/02/04 19:30[株探] – みんかぶ