「住宅ローンを払い終えるまで、自宅は資産とは言えない」。かつてはそんな常識がありましたが、今は違います。
空き部屋を活用した民泊や、リモートワークスペースとしての時間貸し、さらには一部の居住空間をシェアハウス化するなど、自宅を“稼ぐ拠点”に変える手段は、誰でも実践できるようになりました。
この記事では、不動産コストを“副収入”に転換するための具体的な手法や、成功事例、必要な準備、法律面の注意点などを網羅的に解説します。「時間」と「お金」を最大限に活かす自宅活用術を、専門家の視点も交えてご紹介します。
1. 自宅をお金を生む拠点に変える方法
■ 民泊で空き部屋を収益化する
厚生労働省の統計によると、2023年時点で日本全国の空き家率は13.8%。東京都心部でも、マンションの一室が使用されないまま放置されているケースが増えています。
そんな中、民泊サービス「Airbnb」の日本国内ホストの平均収入は、月10万〜15万円(2023年Airbnb発表データ)とされており、特に都市部や観光地周辺ではニーズが継続的に存在します。
実際に、神奈川県鎌倉市在住の女性は、自宅の一室を週末のみ民泊として貸し出し、月平均で8〜12万円の収入を得ています。
必要なのは、簡易宿所としての許可(または住宅宿泊事業法に基づく届出)と、簡単な掃除・準備のみ。家事の合間に管理できる副収入源として注目されています。
■ スペース貸しで「時間」も売る
空間そのものではなく、「時間」に価値を持たせて貸し出す方法も人気です。
例えば、リモートワーカー向けに「1時間500円」で仕事部屋を提供したり、資格試験の勉強部屋として提供するなど、活用法は多くあります。
例えば、大阪市の40代男性は、自宅の8畳間を「仕事・勉強・配信OKスペース」として登録しました。スペースマーケット経由で1日2〜3時間の利用者が続き、月に2〜3万円の副収入を得ています。
このような短時間貸しは、利用者もホストも心理的負担が少なく、住宅街でも実施しやすいのが特徴です。
■ 「部分賃貸」でリスク分散
自宅の一部(例えば離れや空き部屋)を月単位で賃貸に出す「部分賃貸」は、住宅ローンの負担を軽減する方法として注目されています。一般の賃貸契約として運用でき、安定収益が期待できるため、ローン返済を支える手段となります。
近年では「セカンドリビング」を作り、短期滞在者に貸し出すケースも増えています。これにより、観光客やビジネス利用者向けの需要に応え、自宅を収益性のある資産として活用できる点がメリットです。
ただし、賃貸契約書や住民票の分離など法的な整備が必要であり、運用前には専門家のアドバイスを受けることが推奨されます。トラブルを未然に防ぐためにも、適切な契約手続きが重要です。
2. 空間をシェアして時間もお金も節約
■ シェアの価値は「お金」だけじゃない
固定費が増え続ける現代、生活の中で“自分の時間”と“お金”を守るには「空間のシェア」が鍵になります。
共働き世帯が増える中で、家事代行やベビーシッターとスペースを共有するなど、単に貸す・借りるではない協力関係を構築している家庭も増えています。
例えば、東京都杉並区で子育て中の女性は、自宅のリビングを日中シッター付きの「キッズルーム」として提供しました。その間に在宅ワークに集中でき、報酬+生産性向上=実質月10万円以上の価値を生み出しているといいます。
■ リフォーム投資も節約につながる?
収益化を狙う場合、最小限のリフォームでも効果は絶大です。
例えば、福岡市の50代男性は、空き部屋に施錠・Wi-Fi・デスクライトを設置し、投資額わずか5万円で「テレワーク貸し」に成功。半年で初期費用を回収し、年間12万円の利益を出しています。
このように、少額でも戦略的に設備投資を行えば、節約と収益の“二兎”を得ることが可能です。
3. 成功する自宅活用者の共通点とは
■ ポイントは「小さく始めて続ける」
成功者の多くは、いきなり大きな投資はしていません。「掃除済みの一室を写真に撮って登録する」という事だけでも、スタートラインに立てる時代です。
共通しているのは、まず「試してみる勇気」と、続ける中での改善意識です。
たとえば、民泊でトラブルを経験した人でも「チェックイン方法を見直す」「レビュー返信を丁寧にする」といった工夫により、稼働率と評価を同時に向上させています。
■ 情報収集と法令順守
成功者は、関連法令や税制についても学び、行政と対話しながら進めています。不動産を「資産」として活用するためには、「情報力」と「継続性」が必要不可欠なのです。
まとめ
家はただの「住む場所」ではありません。空間には価値があり、時間には価格が付き、発想次第で“自宅は資産”になり得ます。
副収入を得るだけでなく、ライフスタイルの自由度を広げ、将来の備えにもなるこの考え方は、今後ますます重要になるでしょう。
まずは、自宅の間取りを見直し、「どこをどう使えるか」をリストアップするところから始めてみてください。最初の一歩は、思ったよりも小さく、しかしその先にある未来は想像以上に大きいはずです。
参考文献
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/akiya.html
https://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/
https://toyokeizai.net/
https://www.homes.co.jp/cont/souken/
https://suumo.jp/journal/
https://www.airbnb.jp/host/homes