給与が振り込まれた後、明細をしっかりチェックしていますか？給与明細を見ると、総支給額（額面給与）から控除が引かれた結果、実際の手取り額が思ったより少ないと感じることが多いでしょう。

特に社会保険料や税金の控除額が大きく、「これを減らして手取りを増やす方法はないのか？」と疑問に思う方もいるはずです。実は、賢く制度を活用すれば、節税しながら手取りを増やすことが可能なのです。

本記事では、給与明細の基本的な見方を押さえた上で、税金を減らすための具体的な方法を解説します。さらに、手取りを増やすための実践的な対策も紹介するので、ぜひ最後までご覧ください！

1. 給与明細を読み解く！控除の仕組みとは？

給与が振り込まれるたびに、「こんなに引かれてるの？」と疑問に思ったことがある方も多いでしょう。給与明細には、支給額だけでなく、各種控除が細かく記載されています。これを理解することで、手取りを増やす方法が見えてきます。

1.1 給与明細の基本構成

給与明細は、大きく「支給項目」「控除項目」「差引支給額（手取り）」の3つに分かれます。

支給項目には、会社が支払う基本的な給与の「基本給」、時間外労働に対する追加支給の「残業手当」、通勤費補助（非課税範囲内）の「通勤手当」、役職手当や資格手当、住宅手当などの「各種手当」があります。

控除項目には、給与から差し引かれる税金や社会保険料が含まれます。医療費補助や傷病手当金のための保険である「健康保険料」、老後の年金積立の「厚生年金保険料」、失業した際の給付のための保険である「雇用保険料」、年収に応じて決まる税金（年末調整で精算）「所得税」、前年の所得を基に計算される税金「住民税」があります。

差引支給額（手取り）は、総支給額から控除額を引いた、実際に振り込まれる金額です。手取りを増やすためには、控除を減らす工夫が必要になります。

2. 手取りを増やす節税テクニック5選！

控除額を減らすことができれば、手取りを増やすことが可能です。ここでは、実践しやすい節税方法を5つ紹介します。

2.1 ふるさと納税を活用する

ふるさと納税は、好きな自治体に寄付をすると、寄付額のうち2,000円を超える部分が税金から控除される制度です。さらに、自治体から返礼品がもらえるメリットもあります。

例えば、年収500万円の人の場合、控除上限額が約6万円のため、60,000円寄付することで58,000円が所得税・住民税から控除されます。

2.2 iDeCo（個人型確定拠出年金）を活用する

iDeCoに加入すると、毎月の掛金が全額所得控除の対象となり、所得税と住民税を軽減できます。

具体的には、年収500万円の人が月1万円をiDeCoに拠出した場合、年間12万円の所得控除となり、約3万円節税されます。

2.3 住宅ローン控除を活用する

住宅ローンを利用すると、年末のローン残高の0.7%を所得税から控除できます。

例えば、ローン残高3000万円の場合、控除額が年間21万円、所得税・住民税が軽減され、実質的な支払額が少なくなります。

2.4 医療費控除を利用する

年間の医療費が10万円（または所得の5%）を超えた場合に適用される税制です。

具体的には、年間15万円の医療費が発生した場合、控除対象額が5万円、所得税10%なら5,000円の税金が戻ります。

2.5 副業の経費を適用する

副業をしている場合、経費を適切に計上することで、課税所得を減らし、節税できます。

例として、ブログ運営でパソコンを購入（15万円）した場合、経費として申告することで所得税・住民税の負担が減ります。

3. 賢く制度を活用！あなたが得する対策法

手取りを増やすためには、節税制度をうまく活用することが重要です。ここでは、誰でも簡単に取り組める実践的な方法を紹介します。

3.1 年末調整をフル活用する

年末調整は、会社が代行して行う税金の精算手続きです。ここで適用できる控除をフル活用すれば、税金を減らし、手取りを増やすことができます。

例えば、生命保険料控除で年間最大12万円の控除、地震保険料控除で年間最大5万円の控除、配偶者控除・扶養控除で配偶者や子どもを扶養している場合、状況に合わせて適用されます。

これらの控除を適用するには、会社の年末調整で申請することが必要です。控除対象になる保険料の証明書などを忘れずに提出しましょう。

3.2 確定申告を活用して還付を受ける

年末調整では適用されない控除も、確定申告を行うことで節税につながります。

確定申告で適用できる主な控除として、医療費控除、副業の経費計上、ふるさと納税（ワンストップ特例未適用の場合）があります。

医療費控除では、年間医療費が10万円を超えた場合に一定額が控除され、副業の経費計上では、自営業や副業で必要な費用を控除できます。例えば、副業をしている場合、通信費や書籍代、パソコン代などの経費を申告することで、課税所得を減らし、結果的に手取りを増やせます。また、ふるさと納税（ワンストップ特例未適用の場合）も確定申告で還付を受けられます。

3.3 住民税の「特別徴収」と「普通徴収」を使い分ける

住民税には、「特別徴収（給与天引き）」と「普通徴収（自分で納付）」の2種類があります。副業収入がある人は、「普通徴収」を選択することで、本業の会社に副業がバレるのを防げます。

副業を始めたばかりの人は、住民税の徴収方法を確認し、適切な方法を選択しましょう。

3.4 給与明細を定期的にチェックする

給与明細には、会社の手当や控除が反映されています。しかし、手当の未払いや控除の計算ミスが発生することもあります。

通勤手当、残業代、役職手当などの手当が正しく支給されているか、所得税、住民税、社会保険料などの控除額が間違っていないか、扶養控除などの適用漏れがないか確認しましょう。

万が一間違いがあった場合は、人事部や経理部に確認し、正しく訂正してもらいましょう。

3.5 節税対策を年間スケジュールに組み込む

節税の効果を最大化するには、計画的に行動することが重要です。

1年間の節税スケジュール例を見てまいりましょう。

①4月〜6月にふるさと納税の寄付額を計算し、申し込み開始。
②7月〜9月にiDeCoの拠出額を確認し、増額を検討。
③10月〜11月に年末調整の書類を準備し、控除を適用。
④12月〜翌年2月：医療費控除や副業経費を確定申告で申請。

このように年間スケジュールを立てておくと、手続きを忘れずに済みます。

まとめ

給与明細を正しく理解し、節税制度を活用することで、手取りを増やすことが可能です。

✅ 年末調整で適用できる控除を最大限活用する
✅ 確定申告を通じて税金を取り戻す
✅ 住民税の徴収方法を適切に選択する
✅ 給与明細を定期的に確認し、ミスがないかチェックする
✅ 節税の年間スケジュールを立て、計画的に行動する

これらの対策を実践すれば、年間で数万円〜数十万円の節税が可能になります。少しの知識と行動で、手取りを増やし、賢くお金を管理していきましょう！

参考文献

• 国税庁「源泉徴収税額表」
  https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2504.htm
• 厚生労働省「健康保険料の仕組み」
  https://www.mhlw.go.jp/
• 総務省「ふるさと納税の仕組み」
  https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/c-tax/hurusato.html
• 金融庁「iDeCoの仕組みと税制優遇」
  https://www.fsa.go.jp/