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経理を外注する前に知っておきたいチェックポイントと費用相場

経理を外注する前に知っておきたいチェックポイントと費用相場

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要約

経理の外注(アウトソーシング)を検討中ですか?失敗しないために知っておきたいチェックポイント、リアルな費用相場、潜む法的リスク、業者選びと導入ステップを詳しく解説。経理業務の効率化・コスト削減を目指す中小企業・スタートアップの担当者・経営者必見のガイドです。

目次

近年、企業の業務効率化や人件費の最適化が求められるなかで、「経理業務のアウトソーシング」に注目が集まっています。人手が限られている中小企業やスタートアップにとって、経理に割くリソースを本業に回すことができるのは大きなメリットです。

外注には明確なメリットがある一方で、費用対効果や業者の信頼性、社内ノウハウの喪失など、多くの落とし穴も潜んでいます。経理は企業の資金を扱う重要部門であるため、安易な判断は大きなリスクにつながる可能性があります。

この記事では、経理の外注を成功させるために必要な知識や、失敗を防ぐためのチェックポイント、具体的な導入ステップや費用相場まで、実務に役立つ視点で詳しく解説します。


1. 経理アウトソーシングとは何か?

1.1 経理業務を外部に委託する目的

経理アウトソーシングとは、企業の記帳業務や請求管理、給与計算、年末調整、決算処理といった一連の経理業務を、外部の専門業者に委託することを指します。社内の人材不足を補いながら、経理の品質を一定以上に保つことが可能となります。

この手法は「BPO(Business Process Outsourcing)」と呼ばれ、コア業務以外を外部へ委ねることで、本業に集中するための戦略的な手段として多くの企業で導入が進んでいます。

1.2 外注できる主な業務の内容

外注できる経理業務は、日次・月次・年次で分けると整理しやすくなります。日次業務では、現金出納帳の管理、領収書の整理、仕訳入力などが含まれます。月次業務では、売上と費用の集計、請求書の発行、買掛金や売掛金の管理、試算表の作成などが行われます。

年次業務としては、決算書の作成や税務申告、年末調整などが該当します。こうした業務は、記帳代行、給与計算代行、請求書管理、決算補助など、業務単位で委託することも、経理全体を丸ごと外注することも可能です。

最近ではクラウド会計ソフトの活用により、データ共有やオンラインでの確認も容易になっており、リモート型の外注が主流になりつつあります。


2. 経理外注の費用相場と確認すべき点

2.1 外注コストの目安を把握する

経理アウトソーシングの費用は、委託する業務内容と量、企業規模、提供形態によって異なります。記帳代行は100仕訳あたり1万円が相場とされており、500仕訳の企業では月額5万円程度になります。

給与計算は、従業員1人あたり月額1,000〜2,000円程度。年次の決算業務は1回あたり5万円〜25万円ほどが一般的です。提供形態によっても費用は変動します。

オンサイト型(業者が訪問・常駐)の場合は月30〜80万円と高額になりがちですが、クラウド会計ソフトを使ったリモート型では月5〜25万円程度と比較的リーズナブルな価格帯で利用できます。

2.2 費用に関するチェックポイント

費用面でのチェックポイントとしては、まず月額固定制か従量課金制かを明確に確認することが重要です。記帳業務などは仕訳数に応じた変動費が多く、業務量によって請求金額が大きく変わることがあります。

見積もり時に初期費用の有無、システム連携費、スキャン代行費など、細かい作業に対する追加料金が発生するかを確認しましょう。注意すべきは、請求書の発行や郵送、ファイルの電子化などが「別契約」扱いになる業者です。

思わぬコスト増加を防ぐためにも、契約前の確認が不可欠です。業務の性質に応じて、単純作業はコストの低い代行業者に、税務処理や決算のような高度な業務は税理士や会計士と連携できる業者に依頼することで、無駄なく外注化を進めることができます。


3. 経理業務の外注で注意すべき法的リスク

3.1 税理士法による業務制限のチェックポイント

経理業務の外注で特に注意したいのが、税理士法に関わる業務範囲です。税務署への申告書作成や税務相談、税務代理などの「税理士の独占業務」は、税理士資格を持たない者が行うと違法になります。

記帳代行自体は資格がなくても行えますが、決算書の作成や税務代理を含む契約を結ぶ際は、必ず税理士資格保有の確認が必要です。

3.2 労働者派遣法・下請法への配慮も必要

業務委託の形式でありながら、実際には委託先が依頼主の指示通りに業務を遂行しているような「偽装請負」は、労働者派遣法に違反する可能性があります。業務の進め方や判断基準は、受託側が自主的に決定できるよう契約書に明記しましょう。

下請法に違反するような報酬の一方的減額、納品後の受取拒否、成果物の修正命令といった行為も、契約トラブルにつながります。法的な枠組みを把握し、公正な取引関係を維持することが、トラブルを防ぐ大きなチェックポイントになります。


4. 業者選びと導入ステップの全体像

4.1 外注導入の具体的なステップを理解する

経理の外注をスムーズに導入するには、次の5つのステップを踏むとよいでしょう。

第一ステップは、「業務の棚卸し」です。現在社内で行っている経理業務を一覧化し、作業内容と所要時間を把握します。これにより、自社で対応すべき業務と、外注すべき業務が明確になります。

第二ステップは、「業務範囲の選定」です。記帳や請求書発行といった定型業務だけを外注するのか、給与計算や決算支援まで含めるのかを整理します。

第三ステップは、「業者の比較・選定」です。業務対応範囲、料金体系、過去の実績、クラウド会計対応、在籍する人材(税理士・会計士)などを比較します。見積もりを複数社から取得するのが鉄則です。

第四ステップは、「試験導入」です。いきなり本格的に委託せず、まずは記帳代行や月次処理だけを外注し、業者との相性や業務の正確性を確認します。

最終ステップが、「本格稼働と定期レビュー」です。実務に乗った後も、定期的に業務内容や費用、対応品質をレビューし、必要に応じて改善・見直しを行います。

4.2 よくある失敗と対策

外注の失敗例として最も多いのが、「業務範囲があいまいなまま契約してしまい、追加料金がかさんだ」というケースです。対策としては、委託内容を業務単位で明確にし、契約書に落とし込むことが第一のチェックポイントとなります。

次に、「業者の処理方法と自社の業務フローが合わず混乱が生じた」という失敗もよく見られます。これに対しては、業務フローをすり合わせる初期段階での打ち合わせが不可欠です。

また、「アウトソーシングに依存しすぎて社内に経理のノウハウが残らなくなった」という事例もあります。属人化を防ぐために、一部の業務は内製化し、マニュアルの整備や業者との定期的な情報共有を習慣づけましょう。


まとめ|経理外注の成功は段取りと確認がすべて

経理の外注は、企業のコスト削減と生産性向上を同時に実現できる強力な手段です。その効果を最大限に発揮するには、契約前のチェックポイントの明確化、法的知識の理解、そして業者選定の精度が鍵を握ります。

費用の透明性、委託範囲の明確化、クラウド連携対応、税理士資格の確認といった基本的な確認を怠らないようにしましょう。経理業務は、正確性と信頼性が求められる重要な機能です。

自社にとって最適な業者と信頼関係を築き、必要な部分は委託しつつ、重要なノウハウは社内に残していくバランス感覚こそが、これからの時代に必要な経営判断といえるでしょう。

参考文献

  1. Robot Payment: 経理外注のメリット・デメリットhttps://www.robotpayment.co.jp/keiri_liberty/dx/column/%E7%B5%8C%E7%90%86%E3%81%AE%E5%A4%96%E6%B3%A8%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%9F%E3%81%9D%E3%81%AE%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%87%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%84%E5%A4%96/
  2. NTT Finance: 経理アウトソーシングの失敗例と対策https://www.ntt-finance.co.jp/billing/biz/column/20241113_5
  3. Freee: 経理アウトソーシング時の注意点https://www.freee.co.jp/kb/kb-business-administration/accounting-outsourcing/
  4. NTT East: 経理アウトソーシング費用相場https://business.ntt-east.co.jp/service/ohs/column/calculation-of-expenses-agency/
  5. SaaS比較サイト: 経理アウトソーシング料金比較https://saas.imitsu.jp/cate-accounting-outsourcing/article/h-2524

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