法律改正と聞くと、なんとなく難しくて自分には関係ないと思ってしまいがちですが、実は私たちの生活に大きな影響を与えるものばかりです。例えば、成年年齢の引き下げや育児休業の改正、インボイス制度の導入など、これらの変化は日々の暮らしや仕事の仕方に直接関わるものです。本記事では、最近施行された重要な法律改正を5つピックアップし、その内容と私たちの生活にどのような影響があるのかを解説します。これらを理解することで、より豊かで安心な生活を目指しましょう。
1. 成年年齢引き下げで若年層の社会参加が進む
2022年4月に施行された成年年齢引き下げの改正は、経済活動や契約に関する若年層の関与が大きく変わる重要な動きです。これまで20歳が成年とされていましたが、改正により18歳から親の同意を得ることなく携帯電話やクレジットカードの契約ができるようになりました。この変化は、進学や就職など新生活のタイミングで自分の意思で様々な選択をしやすくする一方、安易に借金や高額なローン契約を結んでしまうリスクも伴います。
たとえば、若者が高額なローンを組んでトラブルに陥ったり、未払いが発生するケースも懸念されています。こうした背景には、2016年に選挙権年齢が18歳に引き下げられたことがあり、政治的な判断ができる年齢であれば経済的な責任も取るべきとの考えから、民法でも18歳を成年とするよう議論が進みました。さらに、消費者金融や不動産業界は若年層へのサポートや教育を増やすなど、新たなマーケット開拓の意図も見えます。今後は、学校や家庭での金融教育の充実が求められ、若者が安心して経済活動を行えるような取り組みが進められるでしょう。
2. 育児・介護休業法の改正で働き方の多様化が加速
育児・介護休業法の改正は、少子高齢化が進む日本において仕事と家庭の両立を支援するために重要な意味を持ちます。2022年の改正では、特に男性の育児休業取得を推進する「産後パパ育休制度」が導入され、企業が育休取得を後押しする環境整備の義務化が進められました。さらに、有期雇用労働者の育休取得条件も緩和され、短期間の雇用でも育休が取得できるようになり、より多くの労働者が制度を利用しやすくなっています。
この改正により、育児と仕事の両立が以前よりも実現しやすくなり、企業側も男女平等の推進や柔軟な働き方を提供できることが評価されています。例えば、ある企業では、男性社員の育休取得率が10％から30％に向上し、育休取得がキャリアにマイナスとならない文化が形成されています。こうした制度が充実することで、共働き家庭の育児負担を分担しやすくなり、働き方の選択肢が広がったと言えるでしょう。さらに、SDGs目標5の「ジェンダー平等」に向けた具体的な取り組みとして、家庭や社会全体の意識を変えるきっかけにもなり、労働市場全体の変化が期待されています。
3. インボイス制度導入による事業者への影響
2023年10月に導入されたインボイス制度は、消費税の正確な納付を求めるもので、特に個人事業主やフリーランスの働き方に大きな影響を及ぼします。インボイスを発行することで、取引先が仕入税額控除を受ける際の証明ができるようになりますが、インボイスを発行するためには「適格請求書発行事業者」として登録が必要です。
例えば、デザイナーやライターといった個人事業主にとって、インボイス非対応のままでは取引先に税負担が増える可能性があり、取引条件に影響が出る可能性があります。実際、インボイス登録を行わない場合には取引を続けにくくなるといった声もあり、特に小規模事業者にとっては負担増が懸念されています。この制度は、日本国内での消費税制度の透明化と税負担の公平性を向上させることを目的としていますが、事業者の税務対応コストの増加や、新たな負担が個人事業主や中小企業にとって課題となるでしょう。税務知識や経理支援がより重要になる中、支援体制の充実も求められます。
4. 消費生活用製品安全法改正でインターネット取引が安全に
2024年6月から施行される消費生活用製品安全法等の改正は、国内消費者がインターネットで安心して製品を購入できるよう、製品の安全基準が強化されました。Amazonや楽天といったオンラインショッピングモールでは、海外の事業者が直接日本国内に製品を販売することが増えていますが、安全基準の違いから事故の報告も増加しています。
例えば、海外製モバイルバッテリーが発火事故を引き起こした場合、改正後は国内管理人を通じて製品のリコールや迅速な対応が行われるようになります。さらに、プラットフォーム運営者にも危険製品の削除要請ができるようになるため、消費者が安全な製品を選びやすくなる環境が整備されました。この改正により、海外製品のリスクが減少し、消費者がインターネットショッピングをより安全に利用できる体制が強化されています。企業にとっても、製品の安全性を確保する責任が明確になり、信頼性向上のための取り組みが重要視されるでしょう。
5. 環境への配慮が問われる！プラスチック資源循環促進法の施行
2022年4月に施行されたプラスチック資源循環促進法は、環境への負荷を減らすため、リデュース・リユース・リサイクルを推進し、プラスチック製品の使用を抑制する取り組みです。この法律により、フォークやスプーン、歯ブラシなど日常的に使われる12品目が対象となり、製品の素材変更や有料化が進められています。
例えば、コンビニではプラスチックフォークの提供が有料化され、エコ素材への転換が進んでいます。また、スーパーやホテルでは、消費者にプラスチック製品の使用を控える呼びかけが行われています。さらに、ポイント還元やエコバッグの推奨など、消費者の環境意識を高めるための工夫も見られるようになりました。このように、企業はサステナビリティを意識した製品づくりが求められています。消費者もまた、環境配慮を考慮した選択を心がけることが重要でしょう。背景には、海洋プラスチックごみの増加問題があり、日本全体がプラスチック削減の方向に向かうことが欠かせません。
SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」にもつながり、日本全体がプラスチック削減の方向に向かうことで、持続可能な社会を実現する一歩となるでしょう。
まとめ
今回ご紹介した5つの法律改正は、どれも私たちの生活に密接に関わっています。成年年齢の引き下げによる若者の社会参加、育児休業法改正による働き方の多様化、インボイス制度導入による事業者の取引透明化、消費生活用製品安全法の改正による消費者保護の強化、そしてプラスチック資源循環促進法による環境への配慮。これらの改正は、個人や企業にとって新たな課題やチャンスをもたらします。
法律の背景や具体的な影響を知ることで、これらの改正をポジティブに捉え、自分たちの暮らしやビジネスに活かすことができます。変化の時代に対応し、持続可能で安心できる社会を築くために、こうした法律改正を正しく理解し、自分ごととして取り組んでいきましょう。
