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年金をもらいながら働くとどうなる?税金と社会保険の仕組み

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要約

近年、年金を受給しながら働く人が増えており、定年後も収入を維持するための方法として注目されています。しかし、年金を受け取りながら働くことで、税金や社会保険の負担がどのように変わるのかを理解しておかないと、思わぬ出費が発生することがあります。本記事では、年金受給者が働く場合の税金や社会保険の仕組み、さらには自分の手取り額を増やすためのポイントについて詳しく解説します。

目次

近年、年金を受給しながら働く人が増えています。定年後も仕事を続けることで、収入を維持しながら社会とのつながりを保つことができます。しかし、年金をもらいながら働くことで税金や社会保険の負担がどのように変わるのかを理解しておかないと、予想外の税負担が発生することもあります。本記事では、年金受給者が働く場合の税金や社会保険の仕組みについて詳しく解説します。

1. 年金をもらいながら働くと税金はどうなる?

年金は「公的年金等控除」が適用されるため、一定額までは非課税になりますが、それを超えると所得税が発生します。また、働いて給与を得る場合は、年金と給与の両方の所得が合算され、課税額が増える可能性があります。

1.1 公的年金の課税対象

年金収入は「雑所得」として扱われ、課税対象になります。ただし、年金額に応じて一定の控除が適用されるため、すべての年金収入が課税されるわけではありません。例えば、65歳以上の場合、年金収入が330万円以下であれば控除額は120万円。年金収入が330万円超770万円以下であれば控除額は収入の25%+ 27.5万円です。

つまり、年金収入が350万円の場合、控除額は「350万円 × 25%+ 27.5万円 = 115万円」。控除後の課税対象額は「350万円 – 115万円 = 235万円」となります。

ここに所得税がかかるため、確定申告や年末調整の際に注意が必要です。

1.2 給与所得との合算課税

年金を受給しながら給与を得る場合、両方の所得が合算されて課税対象となります。たとえば、年金収入が350万円、給与収入が200万円の場合、課税所得は年金所得(控除後)約235万円、給与所得(給与所得控除後)は約140万円。合計課税所得が375万円です。

課税所得が増えることで、適用される税率が上がる可能性があり、結果として所得税・住民税の負担も増えます。特に、配偶者控除や扶養控除の条件を超えると、さらなる税負担が発生する場合があります。

1.3 確定申告は必要か?

年金を受給している場合、一定の条件を満たせば確定申告が不要になることがあります。しかし、申告が必要になる場合もあります。年金収入が400万円を超える場合、給与収入が20万円を超える場合、医療費控除やふるさと納税を活用したい場合です。

年金受給者の税金は、収入の合算で大きく変わるため、年収の調整や控除の活用が重要になります。

2. 社会保険の負担は増える?年収ごとの影響を解説

年金をもらいながら働くと、社会保険の適用条件にも影響を与えます。特に、健康保険や厚生年金の加入義務があるかどうかによって、手取り収入が変わってきます。

2.1 厚生年金・健康保険の加入条件

働き方によっては、会社の健康保険や厚生年金に加入する義務が発生します。一定の条件を満たすと、社会保険の適用対象になります。

具体的には、月収88,000円以上または週30時間以上勤務の場合や、週20時間以上、年収106万円以上(従業員101人以上の企業)の場合です。

社会保険に加入すると、給与から健康保険料と厚生年金保険料が差し引かれるため、手取り額が減る可能性があります。

2.2 年収ごとの負担額シミュレーション

働き方によって、社会保険料の負担額が変わります。以下に、年収ごとの社会保険料の目安を示します。

年収健康保険料厚生年金保険料合計負担額
80万円(適用外)0円0円0円
120万円約6万円約12万円約18万円
200万円約10万円約20万円約30万円

たとえば、年収120万円の場合、約18万円の社会保険料を負担することになります。ただし、厚生年金に加入することで将来の年金額が増えるため、一概にデメリットとは言えません。

2.3 在職老齢年金制度の影響

60歳以上で厚生年金に加入しながら働く場合、「在職老齢年金制度」によって年金が減額されることがあります。

例えば、60〜64歳の人は年収280万円以上で年金が一部支給停止になります。65歳以上の人は年収480万円以上で年金が減額される可能性があります。

したがって、給与を増やしすぎると、結果的に年金受給額が減ることになるため、収入のバランスを考えることが重要です。

3. 年金と仕事を両立するためのポイントと対策

年金を受給しながら働く場合、税金や社会保険の負担を考慮しつつ、収入を最適化することが重要です。以下に、年金と仕事を無理なく両立するためのポイントと対策を紹介します。

3.1 収入を調整する

働き方によって税負担や年金の減額が変わるため、収入の調整がカギとなります。自分に合った収入ラインを考えましょう。

例えば、年収100万円以内であれば、社会保険の適用外となり、住民税・所得税の負担も少なく抑えられます。扶養内で働きたい人向けです。年収150万円前後の場合、一定の社会保険料を負担しながらも、手取り額を確保できます。パート・アルバイトの人はこのやり方を実践してみるといいでしょう。

年収200万円以上であれば、しっかり働きながら、厚生年金の加入による年金額の増加も狙えます。

3.2 節税対策を活用する

税金の負担を減らすためには、ふるさと納税やiDeCo、医療費控除といった制度を上手に利用することが大切です。

ふるさと納税を使えば税控除を受けつつ、特産品などの返礼品をもらえます。iDeCo(個人型確定拠出年金)なら、掛け金が全額所得控除の対象になり、将来の年金額も増やせます。また、年間の医療費が10万円以上なら、医療費控除によって確定申告で所得税の還付が受けられます。

3.3 働き方を工夫する

年金受給と仕事を両立するには、長時間労働を避けつつ、収入を安定させることが重要です。

フルタイムよりもパート・アルバイトを選択することで、社会保険の負担を軽減できます。また、在宅ワークや副業を活用することで、柔軟な働き方が可能です。シルバー人材センターや短期雇用を活用することで体力に合わせた働き方ができます。

まとめ

年金を受給しながら働く場合、税金や社会保険の負担が増える可能性がありますが、収入を調整し、節税対策を活用することで、手取り額を最大化できます。

✅ 最適な収入ラインを考える(100万・150万・200万円以上の選択肢)
✅ ふるさと納税やiDeCoなどの節税対策を活用する
✅ 無理なく働ける環境を整える(パート・副業・短期雇用など)

これらのポイントを意識しながら、自分にとって最適な働き方を見つけましょう。

参考文献

  • 国税庁「公的年金等の課税関係」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1600.htm
  • 厚生労働省「高齢者雇用・就業対策」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koureisha/index.html
  • 総務省「地方税制度|個人住民税」https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/150790_06.html

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