「家を持ちたいけれど、年収500万円で本当に買えるのか?」と不安を抱える方は少なくありません。マイホームの購入は、人生の中でも最も大きな買い物のひとつです。収入に対する不安があると、なかなか決断に踏み切れないのは当然でしょう。
しかし、実際には年収500万円でも無理なくマイホームを手に入れている人はたくさんいます。この記事では、年収500万円の人が現実的に住宅を購入するための方法について、制度や実例、注意点を交えてわかりやすく解説します。

1.年収500万円台でも家が買えるのはなぜ?実例とデータから見る現実
国土交通省の「住生活総合調査(令和5年)」によると、住宅を購入している層の中心は年収400万〜600万円台となっております。年収500万円というのは決して少数派ではなく、マイホーム購入者としてごく一般的なゾーンに属します。
たとえば、現在月に10万円の家賃を支払っている人であれば、住宅ローン返済に同じ額をあてることができます。これにより、生活スタイルを大きく変えることなく住宅を手に入れることが可能です。
さらに、実際に購入を成功させたケースもあります。
例えば、30代の独身男性で首都圏在住の方は、年収500万円で中古マンションを購入しました。物件は駅から徒歩10分、築20年で、価格は2,300万円。頭金に300万円を準備し、残り2,000万円を35年の固定金利ローンで借入れました。月々の返済は約62,000円で、これに管理費・修繕費が加わる形ですが、結果的に家賃よりも月2万円安くなり、貯金ペースも上がったそうです。
また、子どもがいない共働き夫婦で世帯年収900万円の家庭では、新築戸建て(郊外・駐車場付き)を3,800万円で購入しました。頭金は親の援助を含めて500万円を用意し、3,300万円をフラット35で借り入れ、月々の返済は約95,000円。将来の子育てを見据えた安心できる住環境を整えています。
その他、地方都市に住む子育て世帯(子ども2人・年収500万円)では、築浅の4LDK戸建てを2,700万円で購入。頭金は100万円と少額ながら、2,600万円を固定金利で借り入れ、月々の返済は約79,000円。子ども部屋も確保でき、家計への負担も大きくなりすぎない計画的な購入が実現しています。
2.無理のない資金計画と住宅ローンの選び方のポイント
マイホーム購入では、物件の価格だけでなく諸費用も考慮する必要があります。登記費用や仲介手数料、火災保険・地震保険、そして引っ越しや家具家電の購入費用などがかかります。これらを合計すると、物件価格の5〜10%程度を別途準備しておくことが理想的です。
住宅ローンの選択肢として注目されているのが「フラット35」です。住宅金融支援機構と民間金融機関が連携して提供している全期間固定金利型のローンで、金利の変動に左右されず返済額が一定のため、将来の教育費や老後資金の見通しが立てやすいというメリットがあります。2025年4月時点では、当初5年間の金利が0.94%、6年目以降は1.94%(借入条件による)となっています。
また、住宅ローンの返済額は「年収の25%以内」に抑えるのが安心です。たとえば年収500万円の場合、年間返済額の目安は125万円、つまり月約10万円となります。これを超える借入は、生活費や貯蓄、突発的な支出に支障をきたす可能性があるため注意が必要です。
3.補助金や制度を賢く使って住宅購入をサポート
住宅ローン控除は非常に有利な制度で、年末時点のローン残高に対して0.7%相当を最大13年間、所得税や住民税から控除することができます。年収500万円の方であれば、年間10万〜20万円程度の控除が見込まれ、家計にとって大きな助けとなります。
さらに、自治体が提供する住宅取得支援制度も積極的に活用すべきです。たとえば埼玉県では「若者・子育て世帯住宅取得支援制度」があり、最大50万円の補助金に加えて引っ越しやリフォーム費用の支援も受けられます。長野県伊那市では「移住者定住促進補助金」が設けられており、最大100万円の支援を受けることが可能です。こうした制度を上手に活用することで、居住地の選択肢も広がり、より理想的な住環境を得ることができます。
4.よくある質問に答えるQ&A形式の解説
「頭金がなくても購入できますか?」という疑問に対しては、答えは「可能」です。ただし、諸費用や急な出費に備えるためにも、ある程度の手元資金を確保しておくことが大切です。
「共働きの場合、借入可能額は増えますか?」という質問には、世帯年収での計算が可能なため、世帯年収が700〜800万円であれば借入可能額は増えると答えられます。
また、「中古と新築、どちらが良いのか」という点では、予算を抑えたい方には中古物件+リフォームという選択肢も有効です。フラット35には「中古プラス」という制度もあり、リフォーム費用も含めた借入が可能です。
まとめ
「年収500万円ではマイホームは無理」と思い込んでいませんか? 実際には、収入に見合った物件選びと各種制度の活用によって、十分に夢の実現は可能です。
まずは住宅ローンシミュレーションを試して、現実的な返済額を把握してみましょう。SUUMOやLIFULL、フラット35の公式サイトでは、無料で簡単に試算できます。
次に、自治体の住宅支援制度を調べることも大切です。お住まいの地域名と「住宅補助金」などで検索すれば、支援内容が確認できます。
そして、物件情報は広く見ることを心がけましょう。中古住宅や郊外エリアも視野に入れることで、選択肢がぐっと広がります。
マイホーム購入は人生の大きな節目です。正しい情報と十分な準備があれば、年収に関係なく夢を叶えることができます。焦らず、一歩ずつ、あなたにとって最適な住まいの形を見つけていきましょう。
参考文献
- 令和5年住生活総合調査(速報集計)結果
https://www.mlit.go.jp/report/press/house02_hh_000208.html - フラット35 金利情報(2025年4月時点)
https://www.flat35.com/loan/flat35/ - 住宅ローン減税の概要(2025年度)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000017.html - 埼玉県「住まいる子育て応援プロジェクト」
https://www.pref.saitama.lg.jp/a1107/jakunenkosodate/jakunenkosodate.html - 伊那市過疎地域定住促進補助金
https://www.inacity.jp/kurashi/hojo_enjo/hojo_sonota/kasochikiteiju.html - 子育てエコホーム支援事業(新築編)
https://www.kurosawakoumuten.co.jp/note/kosodate-eco-home/