
個人事業主やフリーランスとして働く中で、固定費の見直しは常に重要な課題です。とくに文房具や日用品、通信費といった日々の支出は、意外と大きな負担となります。こうしたコストを少しでも削減したいと考えるなら、株主優待を活用するのもひとつの手段です。
株主優待は、企業が一定数以上の株式を保有する株主に対して提供する特典制度です。自社商品やサービスの割引券、金券などその内容は多岐にわたり、個人事業主にとっては実質的な経費削減につながるケースも少なくありません。
本記事では、まず株主優待の仕組みと、なぜ経費削減につながるのかを解説したうえで、個人事業主が活用しやすいおすすめ優待銘柄を10個紹介します。少額投資から始められる優待も多いため、投資初心者にも参考になる内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
1. 株主優待とは?仕組みと節約効果
株主優待とは、上場企業が株主との関係を深めるために提供している特典制度です。一般的には100株以上を保有することで優待がもらえるようになっており、年に1回または2回、自社製品や金券、サービスの割引などが贈られます。
個人事業主にとって株主優待が有用な理由は、日常的に必要な商品やサービスを“現金で買う代わりに優待でまかなえる”点にあります。たとえば、文房具やPC周辺機器を優待で入手できれば、節約になります。これは実質的な経費削減であり、収支のバランス改善にもつながります。
また、優待内容の中には、業務とプライベートの両方で使えるものも少なくありません。自宅兼オフィスのような働き方をしている人にとっては、家庭用と事業用の境界が曖昧な支出をうまくカバーできるという意味でも、株主優待は相性が良いといえるでしょう。
さらに、企業によっては優待に加えて配当金も支払われます。つまり、保有するだけで「経費削減」と「資産形成」の二重のメリットが得られる可能性があるのです。
税務面では、株主優待で受け取った物やサービスは原則「一時所得」に分類されます。ただし、事業に直接関係のある支出を補う目的で利用していれば、経費や備品として処理できるケースもあるため、必要に応じて税理士などに確認するとよいでしょう。
2. 経費削減に効く優待ベスト10
ここでは、日々の業務に欠かせない消耗品やサービスのコスト削減につながる、実用性の高い株主優待を10件紹介します。どれも個人事業主が使いやすく、比較的少額から始められる点も魅力です。ぜひ、参考になさってください。
ライオン(4912)
まず、取り上げたいのが「ライオン(4912)」の優待です。毎年、歯磨き粉や洗剤、ハンドソープなどの日用品が詰め合わせで届きます。オフィスや自宅兼事務所での衛生管理に役立ち、ドラッグストアでの出費を大きく抑えることができます。
コクヨ(7984)
文房具を多く使う事業者には、「コクヨ(7984)」の優待が非常に便利です。ファイル、ノート、ペンなど、オフィスの基本アイテムが詰まったセットが届き、補充用としても優秀。品質の高さも申し分ありません。
キングジム(7962)
続いて、「キングジム(7962)」の優待は、ラベルライター「テプラ」をはじめとする整理整頓グッズで知られる企業です。株主優待では、ファイル類や収納グッズ、文具などの自社製品セットがもらえ、書類の管理や棚整理に重宝します。
ニチバン(4218)
「ニチバン(4218)」の優待も見逃せません。マスキングテープやセロハンテープ、救急用テープなど、粘着製品を中心とした実用品が送られてきます。コピーや発送業務、軽作業の場面で活躍するグッズが多く、地味ながら経費削減効果は高いです。
ヤマダホールディングス(9831)
電化製品やオフィス機器を買い替える機会があるなら、「ヤマダホールディングス(9831)」の優待が役に立つので、おすすめです。株主向けの買物優待券は、パソコンやプリンターなどの購入に使えるため、設備投資の負担を軽減できます。
ナカバヤシ(7987)
また、文具・オフィス用品に加えて、家具や収納アイテムも扱っている「ナカバヤシ(7987)」の優待も実用性が高いです。自社製品の詰め合わせが届くため、事務所の環境整備にも役立つでしょう。
バロックジャパンリミテッド(3548)
「バロックジャパンリミテッド(3548)」は、アパレルブランドのオンラインショップで使える割引券が提供されます。仕事着や打ち合わせ用の衣類、バッグなどを優待価格で購入でき、外出の多い事業主には嬉しい内容です。
ライザップグループ(2928)
「ライザップグループ(2928)」の優待は、保有株数に応じてポイントが付与され、健康器具や食品などの中から商品を自由に選ぶことができます。自宅兼事務所で働く人にとっては、生活費の一部をカバーできるのも魅力です。
イオン(8267)
「イオン(8267)」の優待では、「オーナーズカード」を使って系列店舗での買い物金額の一部がキャッシュバックされます。コピー用紙や飲料、軽食など、オフィスで使う日用品の購入費を抑えたい方におすすめです。
タカラトミー(7867)
最後にご紹介するのは、「タカラトミー(7867)」の優待です。一見、ビジネスと無関係に思えるかもしれませんが、自社ECサイト「タカラトミーモール」で使える割引が受けられ、ノベルティや顧客への手土産として活用できます。保有年数に応じて割引率が上がる点も魅力です。
このように、株主優待は業種を問わずさまざまな形で経費削減に貢献してくれます。商品そのものの実用性だけでなく、「自分の仕事スタイルに合っているかどうか」を軸に銘柄を選ぶと、より高い効果が得られるでしょう。
3. 少額投資で始める優待生活
株主優待と聞くと、「多額の資金が必要では?」と不安に思う方もいるかもしれません。しかし実際には、1万円台〜数万円の少額投資で取得できる優待も数多く存在しています。
例えば、「ヤマダホールディングス」は、優待券が受け取れる100株を約50,000円で購入できます。同様に、アパレルブランドの割引クーポンがもらえる「バロックジャパンリミテッド」は100株を約70,000円ほどなので、投資初心者でも手を出しやすい価格帯です(※株価は2025年5月時点の参考値)。
このように、少額から始められる優待投資は、リスクを抑えながら資産形成を進めたい方にも適しています。また、2024年から刷新された新NISA制度では、年間360万円の投資枠が用意され、成長投資枠では個別株の優待銘柄も対象となっています。
NISA口座を使えば、配当金や売却益にかかる約20%の税金が非課税になり、手取りが増えるという副次的なメリットも享受できます。とはいえ、株式投資には価格変動リスクもあるため、あくまで「実用性が高く、長期で保有しても安心できる企業」を選ぶことが重要です。
まとめ
株主優待は、節約志向の個人事業主にとって非常に心強い存在です。日用品や文房具、通信費、外食費など、業務にかかわる日常的な支出を株主優待でまかなうことで、現金支出を減らし、経費削減につなげることができます。
さらに、少額投資から始められる銘柄も多いため、投資初心者でも気軽に取り組むことが可能です。加えて、新NISA制度を活用すれば、非課税で配当金や値上がり益を受け取れるという資産形成面でのメリットも大きく、まさに一石二鳥といえるでしょう。
株主優待は、単なる「お得」というだけでなく、事業運営における賢いコスト管理のひとつです。今後の支出を見直したいと考えている方は、まずは自分のビジネスに必要な商品やサービスから逆算して、優待銘柄を選んでみてはいかがでしょうか。
参考文献
- 楽しい株主優待&配当 https://www.kabuyutai.com/
- みんかぶ https://minkabu.jp/
- 株探(かぶたん) https://kabutan.jp
- 株主優待おすすめ情報[2025年]|ザイ・オンライン https://diamond.jp/zai/category/kabunushiyutai
- ネットアイアール https://www.net-ir.ne.jp/