副業解禁の流れが進む中でも、「会社の就業規則で副業禁止と書かれているからできない」と感じている人は少なくありません。しかし実際には、労働契約法や厚生労働省のガイドラインを理解すれば、「副業禁止=絶対にできない」というわけではありません。企業の就業規則と労働契約法の関係を正しく理解し、法に守られた範囲で行動すれば、副業を行っても問題のないケースは多いのです。この記事では、労働契約法の基本原則をもとに、副業禁止のルールと安全な働き方のポイントをわかりやすく解説します。

1. 労働契約法が定める「副業禁止規定」の基本を理解する
労働契約法には「副業を禁止する」と明記されていません。同法第3条には「労働者と使用者は対等の立場で契約を締結し、誠実に遵守しなければならない」と記載されています。つまり、副業を行うかどうかは、法律ではなく就業規則によって制限されるということです。
ただし、企業が副業を制限できるのは合理的な理由がある場合のみです。厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では、次のような場合に限り、企業による副業制限が認められています。
- 本業に支障をきたすほどの過重労働になる場合
- 機密情報を漏らすおそれがある場合
- 競合他社での勤務など、企業利益を損なう場合
これらは「信義誠実の原則」に基づいた例外的な制限であり、逆にいえばそれ以外の副業は法的に問題ありません。たとえば、休日にWebライターやオンライン講師として活動しても、本業に影響を与えなければ「副業禁止」に該当しないケースが多いのです。
また、労働契約法第13条では「公序良俗に反する就業規則は無効」とされています。社会の働き方が多様化する現代において、一律に副業を禁止する規定は時代遅れと判断される可能性もあります。
2. 会社の就業規則と副業の関係|どこまでが制限されるのか
企業の就業規則には「職務専念義務」や「副業禁止条項」が定められていることが多いですが、それがすべて法的拘束力を持つわけではありません。労働契約法第7条では、「合理的な理由なく労働者に不利益な取り扱いをしてはならない」と規定しています。つまり、副業が会社の業務に影響しない限り、禁止の合理性が認められにくいのです。
厚生労働省も、ガイドラインの中で「原則、副業・兼業を認める方向での見直しが望ましい」と明記しています。特に、休日にスキルを活かした副業(ライティング、デザイン、翻訳など)は、勤務時間外の活動であるため、法的にも制限するのが難しいとされています。
ただし、注意が必要なのは競業避止義務と守秘義務です。自社と同業種の企業で働いたり、社内情報を副業で利用したりする行為は、就業規則にかかわらず懲戒処分の対象になる可能性があります。また、副業を「事前申請制」にしている企業も多く、これは社員の健康や労働時間を管理する目的があり、法的にも妥当とされています。
したがって、副業を検討する際はまず就業規則を確認し、必要に応じて会社へ申請するのが安全です。信頼関係を損なわない透明な姿勢が、副業を長く続けるための鍵になります。
3. 副業禁止でも安心して働ける法的ポイントと実践的対処法
労働契約法の「信義誠実の原則」は、副業を行う上での重要な根拠となります。副業が会社の信用を損なわず、業務に影響を与えない範囲であれば、法的に禁止される理由はありません。
たとえば、クラウドソーシングサイトを使った執筆、動画編集、オンライン講師などは、職務と関係がない分野であれば問題ありません。 副業届出制度を設ける企業も増えており、事前に内容を説明すれば許可が下りるケースが多くなっています。
税務面では、年間20万円を超える副業所得がある場合は確定申告が必要です。住民税の徴収方法を「普通徴収」に変更すれば、会社に通知されずに副業を続けることも可能です。ただし、税務申告を怠るとペナルティが発生するため、クラウド会計ソフトなどを使って記録を残すといいでしょう。
最も大切なのは、法的リスクを避けつつ誠実に働く姿勢です。副業はあくまでキャリアを拡張する手段であり、会社との信頼関係を維持することが長期的な成功につながります。
4. トラブルを防ぐための副業届出・情報管理のコツ
副業を始める際に見落としがちなのが、「情報の扱い」と「契約内容の確認」です。会社員が副業を行う場合、本業と副業の線引きを明確にする必要があります。
労働契約法第15条では「職務内容を明確にすること」が義務づけられており、社内情報や顧客データを副業で利用するのは違反になります。
また、業務委託契約の際には、労働時間が重ならないようスケジュールを管理し、本業中に副業作業をしないよう注意が必要です。
SNSで副業内容を発信する際も慎重になりましょう。職場を特定できるような投稿は避け、個人情報や企業名が推測される発言は控えるべきです。安全な副業運営には、「守秘義務」「時間管理」「税務管理」の3点を意識してください。
5. まとめ
副業禁止の会社でも、労働契約法とガイドラインを理解すれば、法的に守られた範囲で活動できることがわかります。大切なのは、就業規則を確認し、信頼関係を損なわずに収入やスキルを広げることです。厚生労働省も副業・兼業を推進しており、今後は「働き方の多様化」が当たり前になるでしょう。正しい知識と法的理解をもとに、自分のキャリアを自分でデザインする力を身につけてみてはいかがでしょうか。
参考文献
- マネーフォワード:「副業禁止は法律的にOK?解禁されない理由や就業規則との関係」
https://biz.moneyforward.com/payroll/basic/53290/ - 厚生労働省:「副業・兼業の促進に関するガイドライン」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000192188.html - チェック労働:「副業・兼業と労働条件|しっかり学ぼう!働くときの基礎知識」
https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/study/roudousya_fukugyoutokengyou.html - ジンジャー:「副業禁止は就業規則で定められる?トラブルの対処法も解説」
https://hcm-jinjer.com/blog/kintai/hukugyo-kinshi_regulation/ - アディーレ法律事務所:「副業禁止に法的効力はある?労働者が知るべき重要ポイント」
https://www.adire.jp/lega_life_lab/rodou/rodo-others/column2327/ - ベリーベスト法律事務所:「副業禁止ルールは守るべきもの?副業禁止の会社で本業以外…」
https://www.vbest.jp/roudoumondai/columns/7997/


