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利回りに惑わされない収益物件評価の正しい手順

利回りに惑わされない収益物件評価の正しい手順

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要約

「高利回り=儲かる」は大きな誤解です。不動産投資の成否を分けるのは、表面上の数字ではなく、経費やローン返済を差し引いた「真のキャッシュフロー」。実質利回りの計算方法から、将来の修繕・金利リスクを織り込んだ保守的なシミュレーション手順まで、失敗しない物件評価の正攻法を徹底解説します。

目次

不動産投資を検討し始めると、真っ先に目に入るのが「利回り」という数字です。広告には高利回りを強調した物件が並び、数字だけを見ると非常に魅力的に感じることも多いでしょう。

しかし、実際には、利回りの高さだけで判断してしまい、購入後に想定外の修繕費や空室、資金繰りの悪化に悩まされるケースも少なくありません。収益物件の本当の価値は、利回りだけでは測れないからです。

本記事では、利回りに振り回されず、キャッシュフロー、経費、将来リスクまで含めて収益物件を正しく評価するための実務的な手順を分かりやすく解説します。不動産投資が初めての方でも、自分自身の判断軸を持てるようになりましょう。

利回りだけでは収益物件の本当の価値は判断できない理由

不動産投資における利回りとは、物件価格に対してどの程度の家賃収入が見込めるかを示す指標です。表面利回りが高いほど効率よく収益を得られるように見えるため、多くの投資家が最初の判断材料として注目します。

しかし、利回りはあくまで収入に着目した単純な指標であり、支出やリスクが含まれていない点に注意が必要です。

例えば、築年数が古い物件や地方の物件は、価格が低いため表面利回りが高く出やすい傾向があります。しかしその一方で、修繕費がかさみやすく、空室リスクも高まります。

結果として帳簿上の利回りは高くても、実際の手残りが少ない、あるいは赤字になるケースも珍しくありません。

さらに、利回りには、ローン返済、管理費、修繕積立、固定資産税、保険料といった諸経費が含まれていません。これらを考慮せずに判断すると、毎月のキャッシュフローが想定よりも厳しくなり、家計や本業に悪影響を及ぼす可能性があります。

利回りは入り口の目安にはなりますが、最終判断の決め手にはならないという認識が欠かせません。

表面利回りと実質利回りの違いと正しい見方

まず理解しておきたいのが、利回りにはいくつかの種類があり、見ている数字の意味が異なるという点です。一般的に広告で表示されているのは「表面利回り」です。

これは年間の家賃収入を物件価格で割っただけの数字で、経費や税金は一切考慮されていません。そのため、同じ物件でも、実際に手元に残るお金とは大きな差が生まれることがあります。

これに対して、「実質利回り」は、家賃収入から管理費、修繕費、税金、空室期間などを差し引いた実際の収益を基に計算されます。収益物件の健全性を判断するうえでは、表面利回りよりも実質利回りのほうが、はるかに重要な意味を持ちます。

例えば、表面利回りが8パーセントの物件であっても、諸経費が多くかかる場合、実質利回りは5パーセント以下になることもあります。

さらに、ローンを組んでいる場合は、ここから毎月の返済額が差し引かれ、手元に残るキャッシュフローがどの程度かを確認する必要があります。実質利回りが高くても、返済比率が高ければ、資金繰りは安定しません。

また、利回りは「今現在の条件」で計算された数字であり、将来も同じ状態が続く保証はありません。家賃相場の下落、金利の上昇、突発的な修繕などにより、収支構造は簡単に変わります。

そのため、実質利回りを見る際には、将来的な変動をある程度織り込んだ保守的な想定で判断することが大切です。

このように、表面利回りと実質利回りはまったく性質の異なる指標です。収益物件を評価する際には、数字の見え方に惑わされず、どの条件で計算された利回りなのかを必ず確認し、その裏にある実態を読み取る姿勢が求められます。

キャッシュフローから読み解く収益物件の健全性

収益物件を評価するうえで、利回り以上に重視すべき指標がキャッシュフローです。キャッシュフローとは、家賃収入からすべての支出を差し引いた、実際に手元に残るお金の流れを指します。

ここには、管理費、修繕費、固定資産税、保険料、そしてローン返済額などがすべて含まれます。利回りが高く見えても、キャッシュフローが毎月赤字であれば、その物件は安定した資産とは言えません。

特に副業として不動産投資を行う場合、本業の収入を補完する形で安定した現金収入を確保できるかどうかが極めて重要です。キャッシュフローがギリギリの状態では、空室が一室出ただけで資金繰りに影響が生じ、精神的な負担も大きくなります。

一方で、毎月の手残りが安定してプラスで推移していれば、突発的な修繕や家賃下落が起きた場合でも、冷静に対応しやすくなります。

キャッシュフローを見る際には、現在の収支だけでなく、将来的な変化も織り込む視点が欠かせません。築年数の経過とともに修繕費は増えやすくなり、家賃も緩やかに下落する傾向があります。

こうした変動を想定せず、現在の満室状態だけを前提に判断してしまうと、数年後に収支が悪化する可能性があるかもしれません。保守的な前提条件でシミュレーションを行い、それでも安定したキャッシュフローが確保できるかを確認することが、健全な収益物件評価の基本姿勢です。

将来リスクを織り込んだ収益物件評価の具体的手順

収益物件の評価においては、現在の条件だけでなく、将来的に起こり得るリスクを織り込んだ判断が重要になります。まず確認すべきは立地の将来性です。周辺人口の増減、再開発の有無、商業施設や公共インフラの動向などは、将来の賃貸需要に大きく影響します。

現在の入居率が高くても、将来的に需要が減少するエリアであれば、家賃下落や空室リスクが高まる可能性があるかもしれません。

次に、建物そのもののリスクも冷静に見極める必要があります。築年数が経過するにつれて、給排水管や外壁、屋根などの大規模修繕が必要になる可能性が高まります。

これらの費用は一時的に高額になることが多く、事前に修繕計画を想定していなければ、資金繰りを圧迫する要因となります。購入前の段階で、建物の状態や過去の修繕履歴を確認し、将来的な維持費をおおよそ把握しておくことが不可欠です。

さらに、金利の変動も見逃せないリスク要因です。ローンを利用している場合、金利が上昇すれば返済額が増え、キャッシュフローが圧迫されます。

低金利の環境が長く続いたことで、金利上昇の影響を過小評価してしまう傾向もありますが、長期的には返済額に余裕を持たせた資金計画が求められます。

このように、収益物件の評価は、利回り、実質収支、キャッシュフロー、立地の将来性、建物の維持費、金利変動といった複数の要素を段階的に確認しながら行う必要があります。

どれか一つの条件が良いからといって即断するのではなく、総合的に見て無理のない収支構造が築けるかどうかを判断軸とすることが、長期的に安定した不動産経営につながるでしょう。

まとめ

収益物件の評価では、利回りの数字だけに注目するのではなく、実質利回りやキャッシュフロー、将来の修繕費や金利変動などのリスクまで含めて判断する姿勢が重要です。複数の視点から総合的に見極めることで、安定した資産形成に近づくことができます。

数字の見え方に惑わされず、自分自身の判断軸を持つことが、後悔のない不動産投資につながります。

参考文献

不動産投資の利回りとは 理想の表面利回りと実質利回りの目安
https://vertex-c.co.jp/column/article/38

不動産投資のキャッシュフローとは 目安や計算方法
https://www.okamura-home.co.jp/column/202503-1/

不動産投資の利回りとは 相場と高利回り物件の罠 注意すべきポイント
https://www.acn-fudosan.co.jp/column/archives/215

不動産投資における三つの利回りとレバレッジ活用法
https://rengotai.rals.co.jp/column/interest-leverage

不動産投資におけるキャッシュフロー計算の基本
https://www.sumai1.com/useful/plus/investor/plus_0069.html

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https://www.realbricks.com/articles/how-to-evaluate-a-rental-property

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