副収入を得たい、将来に備えて資産形成をしたい。そう考える多くの人が注目しているのが「不動産投資」です。しかし、物件の選び方や投資判断の基準がわからず、最初の一歩を踏み出せないという方も少なくありません。
そんなときに必ず知っておきたいのが「利回りの計算方法」です。利回りとは、不動産投資の成否を左右する非常に重要な指標です。本記事では、不動産投資初心者にもわかりやすく、表面利回りと実質利回りの違い、計算式の使い方、投資成功のためのポイントを丁寧に解説します。

1.利回りとは?不動産投資の基本知識を押さえよう
不動産投資における利回りとは、投資した金額に対してどれだけの収益が得られるかをパーセンテージで表したものです。銀行の金利に似た概念ですが、不動産投資においてはリターンの目安として判断材料になります。
1-1.表面利回りとは何か
表面利回りは、年間の家賃収入を物件価格で割って求められます。計算は非常にシンプルです。
年間家賃収入を物件価格で割り、100をかけてパーセンテージを出します。たとえば、家賃10万円のマンション(年間収入120万円)を2,000万円で購入した場合、表面利回りは6%です。
このように、表面利回りは物件同士をざっくり比較する際に使われる指標です。
1-2.実質利回りとは何か
実質利回りは、家賃収入から経費を差し引き、さらに物件価格に加えて諸費用も含めた総投資額で割って算出します。より現実的な収益性を示す指標です。
例えば、年間家賃収入が120万円、経費が20万円、諸費用が200万円だった場合は、(120万円−20万円)÷(2000万円+200万円)×100=約4.55%となります。
このように、実質利回りこそが、実際の収益性を正確に把握するために重要なのです。
2.利回りの違いを理解する:成功例と失敗例の比較
利回りの種類を理解していても、それがどのような投資判断につながるかをイメージするのは難しいものです。ここでは、成功例と失敗例を取り上げ、利回りの活用方法を紹介します。
2-1.成功例:駅近・築浅マンションのケース
ある駅近の築5年マンションを2,500万円で購入し、月額家賃が9.5万円(年間114万円)の場合、経費は年間14万円、諸費用は250万円とします。
この条件で表面利回りは、114万円÷2500万円×100=4.56%。実質利回りは、(114万円−14万円)÷(2500万円+250万円)×100≒3.64%となります。
表面利回りとしてはそれほど高くありませんが、駅から徒歩5分、築浅で法人契約があるなど、安定した入居率が見込める好条件のため、将来的にはローン返済後の安定収入につながります。
2-2.失敗例:郊外・築古アパートのケース
別の事例として、郊外の築年数が古いアパートを1,200万円で購入したケースを考えてみましょう。月額家賃は10万円(年間120万円)で、年間経費は40万円、諸費用は150万円です。
この条件では、表面利回りが120万円÷1200万円×100=10%と一見高く見えますが、実質利回りは(120万円−40万円)÷(1200万円+150万円)×100≒5.93%となります。
見た目の利回りは高くても、実際には空室リスクや修繕費の負担が大きく、収益が安定しない典型例といえるでしょう。
3.利回りだけで判断しないために大切な考え方
利回りは重要な指標ではありますが、それだけで投資判断をするのは危険です。収益の背景にある条件やリスクを読み解く力が必要です。
とくに、表面利回りの数字だけを見て物件を選んでしまう人は注意が必要です。また、経費の見積もりが曖昧であったり、価格の安さだけで購入を決めたりするケースでは、失敗のリスクが高くなります。
空室率や修繕リスク、さらには投資エリアの将来性なども加味して、実質利回りを基にした総合的な判断が求められます。
4.初心者でもできる利回り活用法とは
不動産投資の成功には、正しい知識と計算スキルが欠かせません。ここでは、初心者が実践しやすいステップをご紹介します。
まずは、インターネット上で提供されている不動産投資サイトの利回り試算ツールを活用して、気になる物件の表面利回りと実質利回りを試算してみましょう。
次に、投資エリアの空室率や家賃相場の推移をチェックします。SUUMOなどの不動産ポータルサイトや統計データが参考になります。
最後に、不動産投資のプロに相談するのもいいでしょう。不動産投資セミナーやファイナンシャルプランナー(FP)との面談などを通じて、第三者の意見を取り入れることで、より安全な投資判断につながります。
まとめ
不動産投資で成功する人は、物件の「数字」を冷静に分析できる人です。特に、表面利回りだけでなく、実質利回りを理解し、総合的な視点から判断を下せることが重要です。
立地、管理状況、空室率、将来性など、多くの要素を考慮することで、初めて堅実な資産運用が実現します。
まずは、気になる物件の収益性を自分で試算するところから始めてみましょう。ツールを活用すれば、初心者でも簡単に計算ができ、投資判断の第一歩を踏み出せます。
「なんとなく良さそう」ではなく、「数値で納得できる」不動産投資を目指し、将来に向けて着実に資産を築いていきましょう。
参考文献一覧
- 不動産投資の利回り計算方法をわかりやすく解説。表面利回りと実質利回りの違いとは?
URL: TOCHU|投資マンション売却のプロフェッショナル
- 表面利回りと実質利回りとは?計算方法も合わせて解説
URL: プレサンスコーポレーション
- 表面利回りと実質利回りの違いとは?物件選定の目安となる計算方法
URL: 武蔵コーポレーション株式会社
- 不動産投資の利回りの計算方法とは?具体例とシミュレーション
URL: Dr.Asset
- 不動産投資の基礎 No.4|なぜ利回り計算を行うのか?「表面利回り」と「実質利回り」について
URL: 不動産の仲介・売買|東急リバブル
- 賃貸用不動産の投資利回りを試算 – アットホーム
URL: アットホーム