私たちは日々、「お金」と「時間」のどちらを優先するかを無意識に選んでいます。残業で収入を増やすか、早く帰って家族と過ごすかと考えたりします。
ハーバード大学やブリティッシュ・コロンビア大学「UBC」の研究では、「お金より時間を重視する人ほど幸福度が高い」と報告されています。この記事では、時間を優先することがなぜ幸福に直結するのか、その科学的根拠と実践法をまとめました。特に副業やキャリア形成に励む30〜40代に役立つ内容です。

1. 幸福度を決めるのは「収入」ではなく「時間の使い方」だった
「収入が多ければ幸せになれる」と考える人は少なくありません。しかし近年の研究によると、その相関は思ったほど強くありません。
アシュリー・ウィランズ博士(ハーバード・ビジネス・スクール)は、4,690人を対象に行った調査で「お金より時間を重視する傾向」と幸福度の関係を分析しました。その結果、年収や職業に関係なく、時間を優先する人のほうが生活満足度が高いことが確認されました。
さらに、UBCが行った大学生追跡研究では、「お金より時間」を選ぶ姿勢を持っていた学生ほど、1年後に仕事への意欲や幸福度が高いという結果が出ています。これは、幸福が単に所得額で決まるものではなく、「時間をどう管理し、どんな活動に使うか」によって左右されることを示していると言えるでしょう。
ハーバード・ビジネス・レビューでも、「お金を優先して時間を犠牲にすること」は、長期的には幸福を下げると指摘されています。自由な時間を持てない生活は、ストレスや燃え尽き症候群の原因となりやすく、心理的余裕を奪います。
これに対し、「必要な分だけ稼げば十分」と考える人は、心のゆとりを保ち、家族や仲間との時間を楽しむ傾向が強いそうです。こうした選択が心理的ゆとりを得る助けにもなります。
都市部で副業やキャリアアップに挑戦する人にとって、この「時間の使い方」の視点は重要です。収益を追うだけではなく、日々の暮らしに幸福をもたらす「時間の質」を高めることが、持続可能な働き方への第一歩なのです。
2. 「お金より時間」を重視する人が幸福になる理由とは?
なぜ時間を重視する人が幸福になれるのか。その背景には、心理学的なメカニズムがあります。
第一に、自己決定感です。自分で選んだ時間を過ごせる人ほど、ストレスが少なく幸福を感じやすい傾向にあります。逆に、収入のために自由時間を削る生活では「やらされている感」が強まり、心理的負担が増加します。
第二に、社会的つながりです。ハーバード大学の長期研究「成人発達研究」では、幸福を決定づける最大の要素が「良好な人間関係」であると示されています。時間を優先する人は、家族や友人と過ごす時間を大切にし、社会的つながりを深める傾向があります。これが精神的な安定と幸福感を高めるのです。
第三に、時間の使い方が自己肯定感を高めることです。お金を追う生活は、常に比較と競争にさらされますが、時間を重視する人は「自分の価値観」に基づいた選択をします。これは、自分自身の人生を主体的に生きる感覚を生み、幸福感を強化します。
副業を始めた人にとっても、時間の使い方は成果に直結します。たとえば、「夜の2時間をSNS運用に使う」か「早朝の静かな時間に学びの時間を取る」かで、得られる充実感はまったく異なります。幸福とは、収益ではなく時間の充足度から生まれるのです。
3. 科学的に証明された“時間を大切にする生き方”の実例
「時間を大切にする生き方」は、日常の小さな行動から実践できます。
アシュリー・ウィランズ博士の提案する「時間をお金で買う」考え方は象徴的です。家事代行や食材宅配を利用し、浮いた時間を家族との食事や趣味にあてることで、幸福度が向上するという研究結果があります。実際に、自分で掃除をするよりも代行サービスを利用した人の方が、幸福度が高いと報告されました。
また、UBCの研究によると、「SNSの利用を1日30分減らし、自然の中で過ごす時間を増やした人」はストレスホルモンが低下し、幸福度が上昇したとされています。これは、時間の質を変えるだけで、心の健康が改善されることを示す実例です。
さらに、1日のスケジュールに“余白”を作ることも重要です。心理学者モーリス・シュワルツは、「時間に追われない感覚こそが満足度を高める」と指摘しています。副業や多忙な職種の人ほど、意識的に休息時間を設けることで、集中力と創造性が高まり、結果的に生産性も上がります。
たとえば、名古屋で営業職を務めるAさん(40代男性)は、副業と本業を両立させる中で「日曜日の午前中だけ仕事をし、午後は家族と過ごす」というルールを設けたそうです。その結果、以前よりも心の安定と仕事の満足度が増したと話します。時間の選択は、幸福だけでなく成果も変えるのです。
4. 今日からできる「時間重視型ライフ」へのシフト方法
時間を大切にする生き方は、誰でも少しの意識で始められます。以下の3つが効果的です。
4-1. 時間を「買う」意識を持つこと
掃除や買い物などを外注し、浮いた時間を自分や家族のために使うことは浪費ではなく「時間への投資」です。
4-2. 時間の使い方を「可視化」すること
スマホの使用時間や1日の行動を記録し、「本当に必要な時間」と「削れる時間」を見直します。これにより、意識のムダを減らせます。
4-3. スケジュールに「余白」を設けること
詰め込みすぎた予定は心をすり減らします。30分の余裕をつくるだけで、想像以上に気持ちが穏やかになります。
これらを意識することで、時間に追われる生活から、時間を味方につける生き方へと変わります。完璧を求める必要はありません。1日10分でも、自分が幸せを感じる時間を増やすことが、幸福度を高める第一歩です。
まとめ
幸福な人生を築くために必要なのは、収入額ではなく「時間の質」です。お金を増やす努力は重要ですが、それ以上に「どう生きたいか」を考える時間が大切です。時間を優先する生き方は、精神的な豊かさと自己成長を促し、長期的な幸福を支える“投資”でもあります。副業やキャリアアップを目指す人こそ、今日から「お金優先」から「時間優先」への意識転換を始めましょう。その選択こそが、真の豊かさへの第一歩となるでしょう。
参考文献
Whillans, A. V., Weidman, A. C., & Dunn, E. W. (2016). Valuing Time Over Money Is Associated With Greater Happiness. UBC Emotion & Self Lab.
Hershfield, H. E., Mogilner, C., & Barnea, U. (2016). People Who Choose Time Over Money Are Happier. UCLA Anderson School of Management.
Dunn, E. W., & Whillans, A. V. (2020). Does More Money Really Make Us More Happy? Harvard Business Review.
Harvard Kennedy School (2021). Valuing time over money associated with greater social connection.
Verywell Mind (2023). Can Money Buy Happiness?


