副業が注目を集めるなか、20代の営業マンが将来の独立を見据えて動き出す例が増えています。営業のスキルを活かして自分のビジネスを築くには、勢いや感情だけでなく、冷静で現実的な準備が必要です。副業の始め方、スキルの高め方、資金の計画など、段階的に起業を目指す道のりには押さえるべきポイントがあります。これから副業を始める方も、すでに行動を起こしている方も、自分らしい起業の形を見つけるきっかけになるでしょう。

1. 副業から始める起業の心構え
副業を起業の第一歩として考える営業マンにとって、まず大切なのは「副業は実験の場である」という意識を持つことです。本業で得たスキルや知識を活かし、新たな価値を生み出す小さな試みとしてスタートする姿勢が求められます。
1-1.得意分野を活かした仮説検証が成功の鍵
収益を最初から追い求めるのではなく、仮説を立てて検証するサイクルを回すことが、成功への近道です。たとえば、ある営業マンはSNSを活用して資料作成代行を始め、少数の依頼から月5万円の安定収益を実現しました。一方で、営業と関連性の薄い動画編集を副業に選んだ人は継続できず、数か月で断念しました。こうした事例は、自分の得意分野を選ぶことの重要性を物語っています。
1-2.自分の強みを言語化して「伝えられる武器」にする
次に意識したいのは、自分の強みを明確に言語化することです。過去の営業成績や得意とする商材、顧客対応での成功体験などを振り返り、それらを紙に書き出す作業が第一歩となります。具体的なエピソードを持っておけば、将来的にSNSでの発信やブログ記事、営業資料づくりにも活かせる財産となります。
1-3.本業との両立がカギ!時間管理で副業を無理なく続ける方法
副業を始める際に忘れてはならないのが本業とのバランスです。営業職は成果主義が強く、日々の業務も多忙な傾向があるため、副業に熱中しすぎて本業が疎かになるようでは本末転倒です。どちらも中途半端にならないようにするには、時間の管理が不可欠です。NotionやGoogleカレンダーなどのツールを使って、一週間単位で副業の時間枠をスケジューリングすれば、現実的で無理のない働き方が実現します。
1-4.副業の「なぜ」を掘り下げることが成功の鍵
何より重要なのが、副業の目的を明確にすることです。将来的な独立を見据えているのか、収入を増やすことが目的なのか、それとも新しいスキルの習得を目指しているのかを考えましょう。目指す方向が定まれば、自然と時間やエネルギーの使い方も明確になり、ブレることなく継続する力が生まれてきます。
2. 営業経験を活かす副業選び
営業職として培ってきたスキルをそのまま活用できる副業は、成果を出しやすく、取り組みやすいのが特徴です。たとえば、営業資料の作成代行や商談のロールプレイ指導、営業戦略に関するコンサルティングなどは、すでに業務で身につけたノウハウを活かして収益化しやすい分野です。これまで法人営業や個人向け営業に携わっていた方であれば、ネットショップ運営やスキル販売プラットフォーム(たとえばココナラなど)で、自身の知識や提案力を商品に変えていくことも可能です。営業職ならではの「どうすれば売れるのか」という視点は、競合との差別化やマーケティングにも強みを発揮します。
一方で、副業で継続的に成果を上げていくためには、「スキルを活かす」だけでなく、「市場のニーズと合っているかどうか」という視点も欠かせません。いくら営業力に自信があっても、需要のない商品やサービスを扱っていては収益化は困難です。近年では、InstagramやLINE公式アカウントの運用代行のようなSNS運用系のサービスが注目を集めており、顧客心理に対する理解が深い営業職の方には特に向いている副業といえるでしょう。発信戦略においても、説得力のあるメッセージ設計ができるため、高い成果が期待されます。
また、副業は最初から完璧な形を目指すのではなく、まずは小さく始めてみることが成功への近道です。友人や知人にサービスを試してもらいフィードバックをもらったり、SNS上でモニターを募って実際に反応を観察したりすることで、自分の提供価値を具体化できます。こうした小さな実践の積み重ねによって、「人の役に立てた」という実感が得られ、自信が育ちます。さらに、得た意見をもとに柔軟に改善できる人ほど、より早くビジネスとして成長させることができるのです。
3.副業の成果を可視化し、信頼を獲得する
副業を本格的にビジネスへと発展させていくためには、「自分の提供する価値」を外部に示す工夫が欠かせません。単にスキルを持っているだけでは、見込み客の信頼を得ることは難しく、実績や成果を“見える形”にすることが重要になります。
たとえば、資料作成代行を行っている場合は、過去に作成した資料の一部を匿名加工してポートフォリオとして掲載したり、クライアントからの感想や評価をテキストで紹介したりするなど、第三者の声を取り入れることで信頼性が高まります。
また、SNSやブログなどの発信を通じて、自分がどのような活動をしているのかを継続的に伝えることも効果的です。日々の業務の中で気づいたことや、工夫したポイント、得られた成果などを発信することで、専門性と実行力をアピールすることができます。
さらに、モニター施策や無料相談などを活用して小さな成功体験を積み上げることも有効です。まずは知人やSNSのフォロワーにサービスを試してもらい、率直なフィードバックを受け取りましょう。こうした実践の記録こそが、次の依頼者にとって安心材料となります。
4. 起業前に必須のスキル習得
営業職の経験がある人は、対人スキルや交渉力に自信を持つことが多いですが、起業となるとそれだけでは不十分です。実際には、集客力、マーケティング、会計知識、法務理解、ライティング能力、ITリテラシーなど、幅広いスキルの習得が不可欠です。なかでも重要なのがマーケティングの基礎知識で、どんなに魅力的な商品や優れた営業力があっても、見込み客を集められなければビジネスは成立しません。SNSの運用、ランディングページ作成、広告運用の基本を学ぶことで、自分の提供する価値を確実に届ける力が養われます。
また、スキルを学ぶ手段としては、費用のかかるセミナーやスクールだけでなく、YouTubeやeラーニングといった無料の教材を活用する方法もあります。たとえばGoogleが提供する「デジタルワークショップ」や、中小企業庁の「ミラサポplus」などでは、起業に必要な知識を無料で学べるため、副業段階でのスキル習得に最適です。
5. 独立に向けた資金と準備計画
副業から独立を目指すなら、収益を生活費に使い切るのではなく、必要な学習や設備、広告などに再投資することが重要です。たとえば、業務用のパソコンや有料ツールを導入することで、日々の作業効率が上がるだけでなく、クライアントからの信用度も高まります。
さらに、副業期間中に生活費の6か月分以上を蓄えておけば、独立後に収入が不安定になっても慌ててアルバイトに戻るようなリスクを避けることが可能です。こうした資金的な備えは、安心して独立へ進むための基盤になります。
また、副業で一定の売上が見込めるようになれば、法人化のタイミングを見極めることも求められます。年間売上が500万円を超える頃がひとつの目安であり、法人化することで節税の幅が広がるほか、取引先からの信頼も得やすくなります。
ただし、法人化には登記や社会保険、税理士との契約など煩雑な手続きが伴うため、いきなり法人に移行するよりも、まずは個人事業主として始め、自身のステージに応じて法人化するのが一般的です。焦らず、段階的に計画を進める姿勢が求められます。
まとめ
副業からの起業を成功させるには、営業という経験を活かしつつ、冷静な判断と段階的な行動が必要です。焦らず小さく始めてスキルを磨き、需要のある分野に的を絞り、収益の再投資と準備期間を経て、満を持して独立することが大事です。この流れを意識することで、20代営業マンでも着実に理想の働き方を実現できるでしょう。
参考文献
- 20代営業マンが副業で失敗しないための思考法|note
- 起業家志望の20代がサラリーマンのうちにやっておくべき3つのこと
- 週末起業で独立の腕試し!|
freeconsultant.jp